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【昭和天皇の87年】宿命の母子別離 皇子の養育は薩摩藩士に託された

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【昭和天皇の87年】
宿命の母子別離 皇子の養育は薩摩藩士に託された

画=井田智康 画=井田智康

 いずれにせよ、誰もが納得しての別離ではなかったようだ。

 皇太子一家の健康診断をしていた東宮医務顧問のドイツ人医師、ベルツが日記に書く。

 「なんと奇妙な話だろう! このような幼い皇子を両親から引離して、他人の手に託するという、不自然で残酷な風習は、もう廃止されるものと期待していた。だめ! お気の毒な東宮妃は、定めし泣きの涙で赤ちゃんを手離されたことだろう」

 むろん、節子皇太子妃の気持ちは、川村も痛いほど分かっていた。

 以後、川村は親王養育に、自らの命をすり減らすほど打ち込んでいく--。(社会部編集委員 川瀬弘至 毎週土曜、日曜掲載)

(※1)五摂家は鎌倉時代以降、摂政・関白を独占した名門中の名門で、近衛・九条・二条・鷹司(たかつかさ)の5家。その家格は高く、明治になるまで御所の席次は関白-准三宮(太皇太后、皇太后、皇后に准じた待遇)-太政大臣-左大臣-右大臣-親王-の順で、五摂家の権威は親王家以上だった

【参考・引用文献】

○宮内庁編『昭和天皇実録』1巻

○同『貞明皇后実録』1、2巻

○田中光顕監修、長野新聞編『聖上御盛徳録』(長野新聞)

○甘露寺受長『背広の天皇』(東西文明社)

○エルウィン・ベルツ『ベルツの日記〈上〉』(岩波書店)

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