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【昭和天皇の87年】首相が変心! 外相は天を仰いだ 「もはや陛下しかいない…」 

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【昭和天皇の87年】
首相が変心! 外相は天を仰いだ 「もはや陛下しかいない…」 

画=筑紫直弘 画=筑紫直弘

 東郷をさらに追い詰めたのは、同志と頼んでいた首相、鈴木の変心である。閣僚懇談会の終盤で鈴木は、こう言って議論を締めくくろうとした。

 「この回答文では、国体護持が確認されないし、また、武装解除も全く先方の思うままにされるのは軍人として忍びないから、再照会してみよう。もし、聞かれざれば、戦争を継続するもやむを得ない」

 東郷は愕然とした。鈴木の発言は交渉決裂と同義である。

 (このまま議論を終わらせてはならない)-

 東郷はとっさに言った。

 「バーンズ回答は米サンフランシスコのラジオ放送を傍受したもので、正式な回答ではない。正式な回答がきてから改めて議論したい」

 この発言で、閣僚懇談会はいったん散会した。

 だが、いまや終戦派と抗戦派の形勢は完全に逆転している。憔悴(しょうすい)して外務省に戻った東郷は、次官の松本に辞意を漏らした。

 外務省編集の『終戦史録』が書く。

 「鈴木首相の再照会論に遭い、流石(さすが)に東郷外相も『もう駄目だ』となげかかった。このことを聞いた松平(内大臣秘書官長の松平康昌)は外務省に外相を訪ね、寸刻でいいからと面会方を求め外相を激励促言した。『日本には「カケコミ訴エ」ということがある。外務大臣として、「カケコミ訴エ」をやって御覧(ごらん)なさい。陛下は待っていらっしゃるかも知れぬから』…」

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