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【田村秀男のお金は知っている】トランプ外交の本質は“差し”での取引 安倍首相の地盤弱体化は危険

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【田村秀男のお金は知っている】
トランプ外交の本質は“差し”での取引 安倍首相の地盤弱体化は危険

トランプ政権下の米国の対外貿易赤字 トランプ政権下の米国の対外貿易赤字

 トランプ氏のやり口とは何か。3月10日付のトランプ氏のツイッターがヒントになる。その2日前には報復関税発表、1日前には米朝首脳会談開催が決まった。ツイッターはまず、「欧州連合(EU)は米国との貿易でひどいことをやっている」となじる。続けて、北朝鮮との会談合意を自賛したあと、安倍晋三首相との電話での会話に触れ、「安倍首相の話は米朝首脳協議に熱狂的だ。さらに、年1000億ドルに上る対日貿易収支是正に向けた日本市場開放について話した」とある。最後は、「中国の習近平国家主席とは北朝鮮の金正恩との会談について長話した。習氏は米国の外交的解決の姿勢を評価している。中国は引き続き役立つのだ!」。

 ここでグラフを見よう。トランプ政権発足後、対米貿易黒字を急速に膨らませているのはもっぱら中国で、その次は欧州だ。トランプ氏が自由貿易協定を破棄すると脅しつけた韓国は対米黒字を減らしている。日本はほぼ横ばいだ。しかし、今秋の議会中間選挙に向け「米国第一主義」の成果を急ぐトランプ氏は安倍首相に対し、米朝首脳会談合意にからめて、実際には700億ドル弱の対日貿易赤字を1000億ドルとブラフをかけて、大幅譲歩を狙った。

 中国に対しては、この際、北朝鮮問題での協力優先、というわけで、対中強硬策は素知らぬ顔で別途進行中だ。トランプ外交とは要するに、首脳間取引主義であり、差しでの話を好む。安倍首相の地盤弱体化はまずい。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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