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【正論4月号】意外?実は徴兵制国家は世界の趨勢  評論家 八幡和郎

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【正論4月号】
意外?実は徴兵制国家は世界の趨勢  評論家 八幡和郎

フランス革命記念日の軍事パレードを観覧するトランプ米大統領(前列右から3人目)=2017年7月14日、パリ(ロイター) フランス革命記念日の軍事パレードを観覧するトランプ米大統領(前列右から3人目)=2017年7月14日、パリ(ロイター)

※この記事は、「正論4月号」から転載しました。

 徴兵制について日本人は二つの大きな勘違いをしている。それは、(1)世界で徴兵制を支持しているのは保守派で、左派やリベラルは反対している(2)世界では徴兵制をとってきた国も志願兵制に移行しつつある、ということである。

 正しくは次の二つである。すなわち、(1)民主主義の論理を徹底すれば、納税と兵役が「平等な負担」という観点から好ましく、ヨーロッパでは社会民主主義者や共産主義者が徴兵制を支持する一方、保守派は効率性の観点から消極的である(2)21世紀初頭にフランスやドイツが徴兵制を廃止し、一時期はそれがトレンドだったが、テロの横行などを通じて徴兵制のメリットが見直され、しかも男女平等の観点から男女共通の新たな義務兵役が復活傾向にある、というものである。

 なぜこのような間違いを犯すかといえば、戦後日本の病理ともいえる『偽リベラル』の幼稚な「反戦」「平和」思想が大きく影響している。最近、私は『「立憲民主党」「朝日新聞」という名の“偽リベラル”』(ワニ書房)という本を書いたが、そこで中国・韓国・北朝鮮に踊らされて日本の国益を蹂躙する「偽リベラル」とは何であり、彼らがいかに世界の現実を歪めて日本人に植え付けてきたかを論じた。彼らは、世界の常識的なリベラル・左派の思想とはかけ離れたその考え方が、あたかも世界の進歩的勢力の共通認識であるがごとく世論を誘導し、日本国家を骨抜きにしてきた。

 この徴兵制をめぐる議論もその一つである。本稿の最後で、日本においてこの問題をいかに現実的に考えるべきかを論じるが、まずは世界史的な視野で徴兵制の歴史を俯瞰してみたいと思う。

近代徴兵制の母はフランス革命

 世界の民主主義がフランス革命にその淵源をもつことは、少なくともイギリス以外では常識である。1989年のアルシュ・サミットで、各国首脳はフランス革命200年の行事に付き合わされることになったが、サッチャー英首相だけは「民主主義の淵源はマグナカルタなどにもある」と異を唱えた。しかし、「鉄の女」のこの主張は通らず、キッシンジャーから近代民主主義はフランス革命を原点とすると反論されていた。

 日本では、フランス革命にとことん反対したエドマンド・バークをもって保守主義を説明しようという人もいるが、それだと保守主義は民主主義と敵対する思想という論理的帰結になってしまうので、私は与しない。では、フランス革命によって打ち立てられた民主主義の中身とは何か。選挙を通じての代議制、人権の尊重、宗教からの独立、統一的な地方制度、公教育など様々あるが、「納税と兵役は国民が等しく負う義務」であり、「武装は特定の階級の独占ではダメだ」といった考え方も含まれる。

 余談だが、これらは必ずしもフランス革命で唐突に登場した考え方ではない。革命が打ち倒したアンシャンレジームは身分制度を基調とした封建制であったが、絶対王制のもとでも先行的に近代化は先取りされていたし、古代ローマなどに存在していた概念も多い。

武器が近代化、少数精鋭の騎士から大人数の歩兵へ 人口の少ない国で徴兵が始まる

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