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【赤字のお仕事】「心」がないのは誰のせい? 時におせっかいな変換ソフトにモノ申す

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【赤字のお仕事】
「心」がないのは誰のせい? 時におせっかいな変換ソフトにモノ申す

 心を亡くすと書いて「忘れる」。心を「りっしんべん」に置き換えれば「忙しい」。忙しいと、いろいろと忘れたりするものだ。先日、「懸け」とすべきところが「縣け」になってしまい、それを一度は見逃してしまうという事案があった。

 状況を整理すると、締め切りの30分前に1文字直すよう依頼し、直された結果を「確認」したのだが、実は確認できていなかった、というものである。「誰か気づいてくださいよ」と思いたくもなるが、気づかないときは誰も気づかない。基本的には、自分が担当した部分は自分一人で完結する覚悟を持たないといけないと思う。

 読んだ「つもり」は比較的簡単だ。本当に問題がないのかは、しっかり読んで考え、確認しないと分からない。結果的には「何もない」ことの方が多いのだが、それを無駄骨と思わず続けられる人が、校閲という仕事をやっていけるのだろう。

 「懸」から心がなくなって「縣」。「縣」から「系」がなくなったら「県」。

 「山縣さん」が「山県さん」と書かれていたらどうなるかというと、新聞の表記原則上は特に問題ない。「縣」は「県」の旧字体に当たるから、というのが簡単な説明だが、確認のために漢和辞典を開いてみた。

 単純に「県の旧字体」と書かれているものがある一方、「県」と「縣」はもとは別の字、としている辞典もあった。それによると、別の字としての「県」の音読みは、「けん」ではなく「きょう」だという。

 さらに興味深いことも判明した。「縣(県)」には、都道府県の「県」のほかに「かける」「かかる」という意味もあるのだという。あわてて直した「縣」も実は、意味としては間違いでもなかったのだ。

 「かける」「ぶら下がる」といった意味が転じて、中央政府にぶら下がる行政区画を表すようになったのだそうだ。中国関係の記事には「市」よりも細かい区分として「県」が出てくることもある。日本では、市よりも大きなくくりが県であるため違和感もあるのだが、「ぶら下がる」という意味を知ると見方も変わる。

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