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【カヌー薬物混入】前代未聞の事件はこう起きた 後輩から慕われたベテランが愚行に走った背景とは…

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【カヌー薬物混入】
前代未聞の事件はこう起きた 後輩から慕われたベテランが愚行に走った背景とは…

2010年のアジア大会で獲得した銅メダルを手にする鈴木康大。東京五輪代表争いの焦りからライバルを蹴落とそうと許しがたい行為に及んだ=2010年12月9日 2010年のアジア大会で獲得した銅メダルを手にする鈴木康大。東京五輪代表争いの焦りからライバルを蹴落とそうと許しがたい行為に及んだ=2010年12月9日

 全日本選手権という舞台を選んだのは、「毎年ドーピング検査が行われていたからではないか」と日本連盟の古谷利彦専務理事は推測した。カヤックシングル200メートルが行われた9月11日、鈴木は事前に宿舎で粉状に加工した薬剤を持ち込み、出場各選手が水分補給のため、水飲み場に置いていた飲み物のボトルの中から小松のものを選んで混入した。

 連盟からの聴取に鈴木は「私の愚かな点、至らない点があったためにこんなことをしてしまった」と何度もこう口にしたという。ただ、8年前からの嫌がらせなどを考えると「魔が差した」というには説得力に欠ける。鈴木を知る連盟幹部は「どんな事情があっても許される行為ではない」とした上で、「まじめなやつだった。日本ではチャンピオンになっても、世界の舞台においてはやってもやっても報われない。そういった部分が彼を追い詰めていたのかもしれない」と心情をおもんぱかった。

 ■上げ潮ムードの中で

 リオ五輪では激流に設置された旗門を通過するタイムを競うスラロームの男子カナディアンシングルで羽根田(はねだ)卓也(30)=ミキハウス=が銅メダルを獲得したことで、メディアに多く露出し、カヌー界は上げ潮ムード一色だった。その中で起きた前代未聞の出来事に関係者は落胆の色を隠せないが、鈴木が良心の呵責から自ら名乗り出たことが唯一の救いだと受け止める。小松は「自白してくれなかったら資格停止処分のままだった。そこに関しては感謝したい」と述べ、再び東京五輪へ向けて歩み進めた。日本連盟の成田昌憲会長は「仲間を信じるのがスポーツの原点。まさか仲間同士の問題が起こるとは考えもしなかった。なんとか元に戻していけるように取り組んでいきたい」と憔悴しきった表情でカヌー界の汚名返上を誓った。(運動部 川峯千尋)

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