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【日本スプリントの挑戦】400メートルリレー 走らざる者の苦衷 藤光謙司、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥の世界陸上

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【日本スプリントの挑戦】
400メートルリレー 走らざる者の苦衷 藤光謙司、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥の世界陸上

2017年08月12日、陸上の世界選手権男子400メートルリレー決勝で銅メダルを獲得したのは(左から)藤光、多田、桐生、飯塚だった(川口良介撮影) 2017年08月12日、陸上の世界選手権男子400メートルリレー決勝で銅メダルを獲得したのは(左から)藤光、多田、桐生、飯塚だった(川口良介撮影)

  飯塚翔太(26、ミズノ)が桐生祥秀(21、東洋大)にラインを送った。

 「そろそろミーティング行く?」

 返事は、すぐに返ってきた。

 「藤光さんがいないです」

 選手宿舎で同部屋の藤光謙司(31、ゼンリン)の姿が見えないという。

 2017年8月12日、ロンドンで開催された世界陸上選手権男子400メートル(四継)決勝の5時間半ほど前のことだ。

 これより少し前、藤光は桐生に「先、行くわ」とだけ言い残して自室を出ていっていた。ミーティングは4時半から設定されていたが、藤光は短距離チームのコーチの1人、土江寛裕から「早めに出て来られる? 4時20分から25分くらいに」と電話を受けていたのである。

 藤光がスタッフの部屋に入ると、苅部俊二、土江、小島茂之のコーチ陣が顔を並べていた。苅部が午前中の練習でのコンディションを尋ねてきた。

 「気持ちと体、どんな感じだった?」

 そして、厳かに続けた。

 「いろいろ考えた結果、オーダーを変えてケンブリッジの所に入れようと思っている」

 藤光は午前中にあった400メートルリレー予選のウオーミングアップをレギュラーメンバーと一緒にこなしていた。チーム最年長の31歳は、メンバーが走る際に他国の選手とぶつからないようレーンを空け、メンバーがバトンを受け渡ししながら流すときは並走した。

 自分の中で、良い状態に仕上がっている手応えはあった。

 「行けって言われれば行けますよ」

 平然と答えると、苅部は小さくうなずいた。

 「それで行こう」

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