産経ニュース

【正論2月号】中国は所詮「言うだけ番長」 北朝鮮の核ミサイルは日本にとって「第2の黒船」だ

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【正論2月号】
中国は所詮「言うだけ番長」 北朝鮮の核ミサイルは日本にとって「第2の黒船」だ

大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」型の試射 =2017年11月29日 (朝鮮中央通信=朝鮮通信) 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」型の試射 =2017年11月29日 (朝鮮中央通信=朝鮮通信)

※この記事は、月刊「正論2月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

■〈新春特集・ワシントンを火の海にする狂気〉 破れた核の傘、日本はどうする!■ 元空将 織田邦男

 昨年11月29日、北朝鮮は二か月半ぶりにミサイルの発射試験を強行した。今回のミサイルは「火星15」という新型であり、ロフテッド軌道で高度約4500kmまで上がった。最大射程に換算すると1万3000kmとも言われ、米国本土をカバーするICBMである。  

 9月3日に実施した6度目の核実験を受け、国連安全保障理事会は11日、かつてない厳しい制裁決議を全会一致で採択した。だが、北朝鮮は国連決議をあざ笑うかのように、15日に中距離弾道ミサイル発射を強行し、日本列島を横断して太平洋に着弾させた。  

 国連制裁決議を主導したニッキー・ヘイリー米国国連大使は9月17日、「現時点で、安保理でできることは全てやり尽くした」「外交的手段が尽きればマティス将軍が後を引き受ける」と苛立ちを隠さず「北朝鮮が無謀な行動を続け、米国が自国や同盟国を防衛する必要があるなら、北朝鮮は壊滅する」と言い放った。  

 まるで真珠湾攻撃前のデジャブである。1941年11月26日、ハル・ノートを野村・来栖両大使に手交したコーデル・ハル国務長官が、「私はこの件(日米交渉)から手を引いた。後はあなたとノックス海軍長官の出番だ」とスティムソン陸軍長官に放った言葉を思い起こす。  翌18日、ジェームズ・マティス国防長官は「ソウルを重大な危険にさらさずに、北朝鮮に対して軍事的な対応が可能」と述べ、国際社会を驚かせた。マティス長官は軍事的対応をとれば、大規模被害が生じるとして一貫して慎重な態度を崩さなかったからだ。  

 それから約二か月半、北朝鮮は挑発的行動をとらなかった。米国が軍事的解決に傾いたため金正恩が怯んだ、あるいは国連制裁が効いてきた。それとも秘密裏に行われてきた米国、中国との交渉の成果が出たのか、などと色々な希望的憶測が取りざたされたが、期待は見事に裏切られた。  

もはや核放棄させるのは困難

 今回、新型の「火星15」を発射したということは、北朝鮮が国連制裁や米国の軍事行動の可能性などは歯牙にもかけず、粛々と発射準備をしていたということだ。今は「圧力」の時であり「対話」の時ではない。だが「圧力」だけで金正恩朝鮮労働党委員長は果たして核を放棄するだろうか。  

 核保有は父金正日総書記の遺訓であり、金正恩がこれを蔑ろにすれば後継者としての正統性が揺らぐ。また外圧で核を放棄したとあっては、独裁者としての権威は失墜する。また、金正恩は、リビアのカダフィ、イラクのフセイン、両独裁者が消されたのは核武装を放棄したからだと信じている。  

 かつて、「ブタペスト合意」が一夜にして反故された現実も認識しているはずだ。ソ連邦崩壊後、ウクライナには約1900発の核弾頭が残された。ウクライナは自国で引き続き保持したい意向だったが、米国、ロシア、イギリスが強く反対。1994年12月、NPT加入、核兵器撤去を条件に「主権と領土の統一性を保障する」とし、全国連常任理事国との間で合意された。これが「ブタペスト合意」である。全常任理事国との合意であるから国連がこれを保証したに等しいが2014年3月、一夜にしてクリミア半島はロシアによって併合され、合意は反故にされた。金正恩も国際社会との約束はこの程度だと認識しているに違いない。今後たとえ米朝対話が実現し、体制保障を確約したとしても、金正恩に核を放棄させることは難しいのではないか。

続きを読む

このニュースの写真

  • 中国は所詮「言うだけ番長」 北朝鮮の核ミサイルは日本にとって「第2の黒船」だ

「ニュース」のランキング