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【びっくりサイエンス】健康なうんちは“宝”だけど…薬なのか体の一部かそれが問題だ

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【びっくりサイエンス】
健康なうんちは“宝”だけど…薬なのか体の一部かそれが問題だ

研究者らは、糞便移植を患者がより安全に利用できる規制枠組みを提案している(c)Val Altounian/AAAS 研究者らは、糞便移植を患者がより安全に利用できる規制枠組みを提案している(c)Val Altounian/AAAS

ほかの“珍物質”も

 米メリーランド大で「法律と健康プログラム」のディレクターも務める、ダイアン・ホフマン教授らは、この問題について、薬物規制や血液、ヒトの細胞・組織・内臓の規制などの枠組みから評価を行った。チームがまとめた政策提案は昨年12月の米科学誌サイエンスに掲載された。

 それによるとホフマン教授は、当局の方針案どおりだと、正面から糞便移植をしようとすると臨床試験の枠組みに入るため、比較対照側にまわった場合は偽薬しかもらえない。よって治りたい患者は医師の裁量に基づく手段を選び、親戚や知人の糞便を使用することになるが、それは感染症などの伝搬リスクを増加させると指摘。

 教授らの代替案は次の通りだ。糞便から得られる微生物は、薬物や「生物学的製剤」でなく生体組織であるという認識に立つ。その上で基本的に既存の血液や皮膚といったものと同様に、定期的な提供者の検査や製造プロセスの順守などで管理すべきだとしている。バンクには登録所への報告を求め、安全性と有効性に関する患者のデータを継続的に収集させることなどを求めている。これで規制と安全性のバランスを取れるという趣旨だろう。

 実は、うんち以外にも変わったものが病気予防に効果があることが分かってきた。女性器からの分泌物だ。帝王切開で取り出した新生児の皮膚や目、鼻、口を膣に入れておいたガーゼで拭くと、アレルギーが予防できるというのだ。実は、この場所でも普段からさまざまな菌がバランスをとり、悪い菌の繁殖から防いでいるらしく、本来、新生児は狭い産道を通るなかで鼻や口から理想的な多種類の菌を取り入れている。

 思いがけないものが私たちを守っていることが次々と分かってきているが、制度に阻まれて適用できないということがないよう柔軟な運用が求められている。(科学部 原田成樹)

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