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【映画深層】「リュミエール!」“映画の父”の108本を1本に アーティストとしての魅力を最新技術で現代に

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【映画深層】
「リュミエール!」“映画の父”の108本を1本に アーティストとしての魅力を最新技術で現代に

映画「リュミエール!」の1編「日本の剣士」 (c)2017 - Sorties d’usine productions - Institut Lumiere, Lyon 映画「リュミエール!」の1編「日本の剣士」 (c)2017 - Sorties d’usine productions - Institut Lumiere, Lyon

映画人の最後はもぎりで終えたい

 一時は自分で映画を作ることも考えたが、多くのシネフィルと同様、運命は別の道へと導かれた。柔道を教えて収入を得る一方、リヨンにできたばかりのリュミエール研究所に、ボランティアスタッフとして加わった。当時は予算もなく、あくまでも情熱だけを糧に無償で奉仕した。

 「映画のリールが入った缶を運ぶだけでも、映画業界で働いているという満足感があった。研究所にある映画館でチケットのもぎりもやっていた。だから映画人としての最後は、どこかの映画館のもぎりで終えたいと思っているんです」

 その後、90年に所長に就任し、、古い映画の保存や映画上映、美術館も兼ね備えたリュミエール研究所を仕切っている。同時に2001年からはカンヌ国際映画祭の芸術ディレクターに就任。現在は総代表として、映画祭の作品選定などの責任者として多忙な毎日を過ごしている。

 「リヨンでは古い映画、カンヌでは最新の映画をたくさん見ることができて、喜び以上のものがある。カンヌでは毎年、50本もの映画が公式上映されるが、その50本に責任があるということは、とてつもない満足感です。私は年に1800本の映画を見て、それらを評価している。1800本にプラスする1本が、この『リュミエール!』で、だから私が監督したとはとても言えない。あくまでリュミエール兄弟が監督した映画なのです」

 映画は、リュミエール兄弟が発明した122年前の当時のまま、今も同じものとして残っているのが魅力だという。今回、1422本の中から108本を選び出したわけだが、中でもお気に入りの作品は?

 「実は2本あります。1本は最初に撮影された『工場の出口』で、工場の扉が開くところから始まる。映画の歴史が扉を世界に向けて開くところから始まったわけで、しかも映っている人たちは工場で働く庶民だった。もう1本は、ベトナムで撮られた『ナムの村の少女』という作品で、すでに完全な映画として存在している。カメラの動きが分かるし、この映画には感動がある。でもリュミエール作品には好きなものがたくさんあるので、明日になったら別の作品を言っているかもしれません」とおちゃめに笑った。(文化部 藤井克郎)

 「リュミエール!」は、10月28日から東京・恵比寿の東京都写真美術館ホール、横浜・シネマ・ジャック&ベティ、札幌・シアターキノなどで公開中。今後、11月18日から名古屋・伏見ミリオン座、12月1日から大阪・テアトル梅田、京都シネマなど全国順次公開。

 リュミエール兄弟 兄オーギュスト(1862~1954年)、弟ルイ(1864~1948年)。フランスの映画発明者。エジソンの「キネトスコープ」を改良しスクリーンに投影することによって、一度に多くの人々が鑑賞できる「シネマトグラフ・リュミエール」を開発して「映画の父」と呼ばれる。1895年、パリで映像を人々に有料公開。これが、世界初の映画館といわれる。今回フレモー氏が「お気に入りの1本」に挙げる「工場の出口」などを上映した。

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