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【正論12月号】緊張高まる朝鮮半島 武装難民を「射殺するか」麻生太郎氏の発言、「現実の脅威」だ!

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【正論12月号】
緊張高まる朝鮮半島 武装難民を「射殺するか」麻生太郎氏の発言、「現実の脅威」だ!

弾道ミサイル「火星12」を見る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前)。朝鮮中央通信が5月に配信した(朝鮮通信=共同) 弾道ミサイル「火星12」を見る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前)。朝鮮中央通信が5月に配信した(朝鮮通信=共同)

 また、広大な日本海や沿岸海域での活動が可能な航続力、航洋性及び浅い吃水も不可欠である。現在の自衛隊や海上保安庁はこうした比較的小型かつ多用途の舟艇を保有していないが、例えば、米陸軍が次期機動支援艇として選定した英国のBMT社設計の高速揚陸艇は、その候補の一つであろう。なお、日本海側の広大な海域と長大な海岸線をカバーするためには、こうした舟艇が数十隻程度は必要かもしれない。  

 加えて、洋上で避難民の状況を確認し、艦船に収容し、武装を解除し、必要に応じて陸上で工作員などの拘束を行うためには、洋上でも陸上でも行動できる特別な訓練を受けた要員が必要となる。  

 しかし、現在の海上自衛隊や海上保安庁、警察にはこうした要員が少ないため、陸上自衛隊が平成29年度末に創設する水陸機動団の隊員にもその役割を期待したい。  

 水陸機動団は本来、島嶼防衛のための上陸作戦を行う部隊であるが、洋上での活動に習熟すれば避難民対処に従事することは可能であろう。また、前述した舟艇を水陸機動団が保有すれば、避難民対処のみならず、島嶼防衛や島嶼部・沿岸部での災害派遣にも有効である。  

 加えて、避難民の基本的人権を尊重しつつ、逃走を防止し、地域住民の安全を確保するためには、収容施設の規模、構造、立地環境などに配慮する必要がある。しかし、これらの条件を満たした収容施設として直ちに使用可能な建物の数は多くない。このため、応急措置として都市部から離れた廃校や空き倉庫などの活用も検討すべきである。  

最悪の事態を想定せよ

 日本が大量の避難民(武装した避難民を含む)への対処に失敗すれば影響は甚大である。我が国は原子力発電に対する根拠なき楽観論の下で事故への備えを疎かにし、重いツケを背負っている。朝鮮半島からの避難民への対処についても同じ轍を踏まないよう、危機管理の大原則である「最悪の事態を想定して為すべきことを為す」ことが求められている。麻生副総理の懸念は「現実の脅威」なのである。

 吉富望(よしとみ・のぞむ)氏 昭和34(1959)年生まれ。防衛大学校卒業。拓殖大大学院国際協力学研究科博士後期課程単位取得退学。昭和58年、陸上自衛隊に入隊。防衛省情報本部、内閣官房内閣情報調査室などで勤務、第1地対艦ミサイル連隊長や防衛大学校教授も務めた。退官時の階級は陸将補。専門はアジア太平洋地域の安全保障、自衛隊による人道支援・災害救援など。

※この記事は、月刊「正論12月号」から転載しました。ご購入はこちら

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★朝鮮半島の邦人保護は大丈夫か   元駐韓国大使 武藤正敏

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【負け犬 和式リベラルのウソ】

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★日米「リベラル」の迷走  元財務官僚 山口真由

★ネットバスターズ 総選挙・特別編  ITジャーナリスト 宮脇睦

★現代の保守に求められるもの  評論家 江崎道朗 × 文藝評論家 小川榮太郎

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【大論争 「希望」という名の下に】

★愛と信仰なき希望は失望に終わる  評論家 潮匡人

★弁護士 橋下徹 インタビュー  “大博奕打ち”小池百合子の失敗

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★正論コロシアム 不倫、不倫と騒ぐなかれ?  動物学者 竹内久美子 VS 日本大学教授 先崎彰容

★シリーズ日本虚人列伝「半藤一利」  高知大学名誉教授 福地惇

★シリーズ対談 日本が好き!   高須クリニック院長 高須克弥 /ジャーナリスト 井上和彦  英霊に対する私の熱き思い

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