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【正論12月号】緊張高まる朝鮮半島 武装難民を「射殺するか」麻生太郎氏の発言、「現実の脅威」だ!

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【正論12月号】
緊張高まる朝鮮半島 武装難民を「射殺するか」麻生太郎氏の発言、「現実の脅威」だ!

弾道ミサイル「火星12」を見る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前)。朝鮮中央通信が5月に配信した(朝鮮通信=共同) 弾道ミサイル「火星12」を見る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前)。朝鮮中央通信が5月に配信した(朝鮮通信=共同)

艦船も収容施設も要員も不足

 大量の避難民が海路で日本に向かう場合、全員が日本まで安全に航行できるとは限らない。慌てて脱出した避難民の中には、外洋での航海に適さない小型船舶に乗っている者も少なくないであろう。また、避難民がすし詰め状態で乗船している場合、病人、高齢者、幼児などの健康状態悪化が懸念される。更に、気象・海象が厳しい場合には多くの避難民の命が危険に晒される。  

 したがって、海上自衛隊や海上保安庁の艦船が公海上において人道的な見地から避難民を艦船に収容することもあろう。もちろん、この際は身体検査と持ち物検査による武装解除が不可欠である。  

 洋上で避難民を収容したり、避難民を乗せた船舶を安全な港に誘導したりするためには多数の艦船が必要になる。しかし、現在の海上自衛隊と海上保安庁の艦船だけでは明らかに足らない。なぜなら、大規模な紛争や混乱が切迫、発生している状態において、海上自衛隊や海上保安庁は防衛、在韓邦人の輸送、警戒・監視など多種多様な任務を担うことになるからだ。また、武装解除の技能を有する要員や通訳要員も不足するだろう。  

 避難民を乗せた船舶や避難民を収容した艦船が港に到着すると、避難民を陸上の施設に収容し、基本的人権を尊重しつつ、武装解除と身元確認を行うこととなる。避難民に紛れている危険人物を入国させないためにも身元確認は慎重に行うことが求められる。  

 しかし、収容施設にも課題がある。仮に10万人規模の避難民と想定した場合、千人を収容できる施設が100カ所必要になる。国の施設では足りず、地方自治体や民間の施設の借上げも必要になるだろう。また、これらの収容施設では避難者への衣食住の提供、医療、施設管理、警備などの業務にも多数の要員が必要となる。

 他方、避難民を運ぶ船を装った工作船で上陸する工作員らを阻止するためには、工作船を早期に発見し、拘束する必要がある。しかし、既に述べたように海上自衛隊と海上保安庁の艦船が不足する状況では、工作船に上陸を許す可能性が高まる。この場合、警察、海上保安庁、陸上自衛隊の要員が陸路、海路、空路から現場に急行できる態勢が不可欠だ。 

避難民対処のための備えを

 避難民の対処には地方自治体の協力が不可欠である。また、避難民に医療や教育などの支援を提供する際には日本赤十字社やNGOによる協力も欠かせない。こうした多様なアクターの活動を含んだ計画の存在を著者は寡聞にして承知していない。事が起きてから協議を行っても遅い。その間に避難民は続々と上陸し、武装した避難民は日本国中に散らばっていくだろう。まずは内閣官房の主導の下、関係機関が指揮系統の確立を含む計画策定に向けた協議を行い、計画が概成したら、訓練を通じて実効性を確認する必要がある。  

 避難民への対処に適した艦船の不足は大きな課題だ。避難民対処に適した艦船とは何か。例えば洋上で小型船に接舷して多数の避難民を収容したり、高速で工作船を追跡したり、工作員が上陸した際には付近の海岸線に追跡・拘束を行う要員や車両を揚陸させることもできる舟艇のことである。

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