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【正論12月号】緊張高まる朝鮮半島 武装難民を「射殺するか」麻生太郎氏の発言、「現実の脅威」だ!

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【正論12月号】
緊張高まる朝鮮半島 武装難民を「射殺するか」麻生太郎氏の発言、「現実の脅威」だ!

弾道ミサイル「火星12」を見る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前)。朝鮮中央通信が5月に配信した(朝鮮通信=共同) 弾道ミサイル「火星12」を見る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(手前)。朝鮮中央通信が5月に配信した(朝鮮通信=共同)

※この記事は、月刊「正論12月号」から転載しました。ご購入はこちら

 北朝鮮の核・ミサイル実験を契機として朝鮮半島の緊張が高まっている。この緊迫状態が生み出す今後のシナリオの振幅は、日本にとって実に幅広い。どのシナリオがどの程度の確率で起こるかを見通すことは不可能であり、大規模な紛争や混乱を「想定外」として除外することは楽観的に過ぎる。こうした前提に立てば、麻生太郎副総理が警鐘を鳴らした「避難民対策」は待ったなしである。(日本大学教授 吉富望)  

(※11月5日にアップした記事を再掲載しています)

移民の中にIS戦闘員

 想定される避難民数については諸説ある。第一次朝鮮戦争の際に韓国から200万人が日本に避難してきたことを念頭に、新たな戦争が勃発した際には開戦から3日~1週間で100万人単位が押し寄せるとの推定がある(辺真一「朝鮮半島有事、北朝鮮有事の際の日本への難民は?」Yahoo ニュース)。  

 また、2007年に日本政府が、朝鮮有事で日本に流入する北朝鮮難民を10万人~15万人と見積もったとの指摘もある(黒井文太郎「朝鮮半島有事 10~15万人の北朝鮮難民が日本に流入か」『NEWSポストセブン』)。  

 ちなみに第一次朝鮮戦争の際、北朝鮮は開戦と同時に韓国全土を攻撃できる能力をほぼ持たなかったが、現在は10万人規模とも言われる特殊部隊や、韓国全土を攻撃できる短距離弾道ミサイルと多数の長距離ロケット・火砲を擁している。北朝鮮軍が近代化された韓国軍や米軍を韓国南部まで追い詰めるとは考えにくいが、火砲などによる被害を避けるために韓国から最も近い日本に避難民が殺到する可能性は否定できない。  

 一方、北朝鮮からの避難民については陸続きの韓国や中国に向かう者が多いと予想できる。ただ、韓国との国境沿いには地雷原があるため、行き場を無くした避難民が海路日本に向かう可能性もある。また、北朝鮮が日本や米国(米軍)を混乱させるべく、多数の民衆を避難民として日本に向かわせ、その中に工作員を紛れ込ませることは十分考えられる。  

 なお、欧州では中東やアフリカから大量の移民が地中海を渡ってイタリア、ギリシャ、トルコなどに漂着しているが、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の戦闘員がこれらの移民に紛れ込んでいるとの報道もあった。  

「武装難民」二つのタイプ

 こうした懸念が脳裏に浮かんでいたのか、麻生副総理は9月23日、宇都宮市内で講演し、朝鮮半島から大量の難民(避難民)が日本に押し寄せる可能性に言及した。この際、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と語ったことから、「武装難民」という言葉と、射殺の是非が注目された。  

 他方、武装した避難民への対処は独立した活動ではなく、大多数を占める非武装の避難民への対処の枠内で実施される。故に本稿では、非武装の避難民への対処を基本としながら、武装した避難民への対策について考察する。  

 武装した避難民は二つのタイプに区分できる。第一は自衛のために武装しているタイプである。これは、避難時に暴行・略奪などから自分や家族を守るためにナイフや拳銃などの小型の武器を携行しているケースだ。このタイプは、安全が確保されれば素直に武器を差し出すであろう。

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