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【正論12月号】あのベストセラー著者が今こそ語る! 日米「リベラル」の迷走 元財務官僚・山口真由

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【正論12月号】
あのベストセラー著者が今こそ語る! 日米「リベラル」の迷走 元財務官僚・山口真由

山口真由氏 山口真由氏

※この記事は、月刊「正論12月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 米国の「リベラル」は人間の理性を絶対的に信頼し、「自然」さえコントロール下に置こうと考える人たちです。日本のリベラルは「原発反対」が主流ですが、彼の国のリベラルは人類に征服された自然の象徴と見なし、好意的にとらえる向きもあります。また、日本とは異なり、米国のリベラルは祖国アメリカに対して非常に肯定的です。故に彼らは日本のリベラルが絶賛した「保育園落ちた日本死ね」というスローガンに対しては違和感を覚えるでしょう。

 加えて、日本においてリベラルは「平和主義」と同一視されがちですが、米国のリベラルは、伝統的には、「大義の御旗」を掲げれば、力による折伏も許されるという「介入主義」です。背景にあるのは「弱気を助け、強気を挫く」を地で行くヒロイズム。理性の力で自然や他国を保護・支配できると本気で信じているのでしょう。

 米国のリベラルは建国以来、折伏によってその考えを着々と広めてきました。私は厳格な「政教分離」がそれを後押ししたと分析しています。リベラル思想はあくまでも「思想」であり、キリスト教のような宗教ではないと認識されてきたために、国家がこれを推奨しても「政教分離」に反するとは見なされなかったのです。

 しかし、米国におけるリベラル思想はもはや宗教の域に達したのではないでしょうか。事実上は熱心な「信者」に支えられた「宗教」であるにもかかわらず、先の理由で、政界は言わずもがな、教育現場などで堂々と「信仰」を浸透させることができるのです。

「異端者」を抹殺するリベラル

 米国は今、リベラルの“暴走”に直面しています。例えば彼らが広めた「ポリティカルコレクトネス」(PC)という概念は、人間の理性を信じ、人種や性などあらゆる分野の少数者を(特に表現の側面から)差別しないという考え方に根ざします。ところが、「レディ・ファースト」さえ女性差別だと決めつけるリベラルの押しつけ、「言葉狩り」が横行するにつれ、中世の魔女狩りに遭っているような、米国民の抱える息苦しさが見受けられました。

 宗教化したリベラルは「寛容」を口にしながら、「異端者」を容赦なく火あぶりにします。つるし上げ、政治的に抹殺します。かつてハーバード大学の学長がデータに基づき「トップレベルに限定すると男女の能力差がある」ことを理系の女性学者が少ない理由に挙げたところ、彼は辞任に追い込まれました。そもそも“タブー”に挑戦するのが学問の本旨ですが、米国の最高学府においても“宗教的価値観”の枠内の研究しか許されない空気が広まっています。

 一定の制限が許される「表現」とは異なり、「内心」はあくまでも自由であることが憲法の大原則です。リベラルの支配領域が内心にまで及べば、思想統制につながりかねません。そんなバカなことがと思われるでしょうが、それが現実的恐怖になりつつあるのが、極端な国アメリカのある意味現状です。

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