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【iRONNA発】教育無償化 高等教育の無償化は「天下の愚策」である 米山隆一氏

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【iRONNA発】
教育無償化 高等教育の無償化は「天下の愚策」である 米山隆一氏

教育無償化などについて検討する「人生100年時代構想会議」の初会合であいさつする安倍首相(中央)=9月11日、首相官邸 教育無償化などについて検討する「人生100年時代構想会議」の初会合であいさつする安倍首相(中央)=9月11日、首相官邸

 しかし、「無償」の効果は絶大でした。何せ「タダ」です。70歳以上の高齢者は、それこそかすり傷一つどころか、「日々の健康診断」という感覚で病院を受診し、病院が高齢者のサロンと化したのです。結果は、高齢者医療費の急激な増大とそれによる保険財政の圧迫であり、これに耐えられなくなることを危惧した大蔵省(現財務省)が主導して、老人医療費無料という政策は、わずか10年で幕を閉じることとなったのです。

 つまり、老人医療費無料、教育の無償化に限らず、「〇〇無償化」という政策は、それ自体によって、それまで存在していなかった需要、しかも本来なら必要とはいえなかった需要を引き起こしてしまう可能性があるのです。

 主に日本維新の会が提唱している高等教育(大学)無償化を例にとって考えましょう。現在日本の大学進学率は54%で、その無償化に必要な額は約4兆円といわれています。

 しかし、無償となれば、この大学進学率が80%近くまで跳ね上がることは容易に予想されます。その過程で現在の大学のみならず、さまざまな事業者が高等教育に参入し、現在大学に行っていない学生たちのニーズに応えようとするでしょう。

 しかも、大学進学率54%の現在でさえ、率直に言って、九九やアルファベットを授業で教えている大学が存在します。教育無償化によって、「高等教育」とは名ばかりのモラトリアム享受機関になることもまた、相当程度の確率で予想されます。

 多元方程式

 要するに、教育の無償化は次のような多元方程式を解かなければならない、極めて複雑な問題だといえるでしょう。(1)幼児教育、高校教育、大学教育、大学院教育、社会人教育のどの教育を無償化するのか(2)その教育の無償化は全員が受けるものか、内容が公的に決まっているものか、社会全体が利益を得るものか(3)その財源はどうやって確保するのか(4)仮に(1)~(3)がクリアされたとしても、教育の無償化それ自体によって、議論の前提が変わってしまうのではないか。

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