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【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】金与正氏は正恩氏のアクセルかブレーキか 北の“兄妹政権”が始まった

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【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】
金与正氏は正恩氏のアクセルかブレーキか 北の“兄妹政権”が始まった

 兄は12歳~16歳、妹は9歳~13歳の多感な時期だった。英、独、仏、ロシア語などを学んだとされるが実力のほどは不明だ。ただ2人とも実母が在日出身の高英姫(コ・ヨンヒ)。とくに与正氏は日本語が「通訳がいらないほど達者」との情報もある。

 帰国から15年、2015年10月10日の党創建70年の史上最高の2万人軍事パレードでは、ひな壇中央の正恩氏の数歩後ろに与正氏がおり、3代目政権の中核となった。最近では今年7月の大陸間弾道ミサイル「火星14号」発射後の祝賀パーティーでも一緒にいる兄妹の姿が確認されている。

 与正氏は数年前に結婚し2年前に出産した。夫は大学教授で、いわゆる革命家の2世ではないという。韓国の北朝鮮専門家の分析では、叔母(金正日の実妹)、金敬姫の夫、張成沢が権力を握ったことから、正恩氏が、有力者や政治に近い人間が妹の夫になるのを嫌ったと分析される。

 与正氏の政治力はどの程度なのか。米韓軍事演習で緊張した今年4月、北朝鮮はミサイル発射に4月25日(軍創設記念日)に第6回核実験を強行する動きがあった。北朝鮮に詳しい関係者によると、この動きを察知した中国は激怒し、「核実験をするなら中朝国境を封鎖」するなどと強く牽制したが、「このとき実験延期を進言したのは金与正だった」との情報がある。

 しかしその後、北朝鮮は今夏の新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星14」と新型中距離弾道ミサイル「火星12」試射を成功させ、9月初旬には水爆級の核実験を実行した。見方によっては、4月に核実験を強行した場合より、ミサイル能力を高めた9月の実験の方が威嚇効果は高かったことにもなる。

 与正氏が政策に関与しているとしても、その役割がアクセルなのかブレーキなのか。少なくとも、疑心暗鬼で酒に溺れるとされる兄の唯一の支えなのは間違いない。(編集委員)

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