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「私は台湾独立を主張する政治家」発言の頼行政院長の起用は吉か凶か 中台関係にさざ波

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「私は台湾独立を主張する政治家」発言の頼行政院長の起用は吉か凶か 中台関係にさざ波

9月27日、台北市内の行政院で、記者会見する頼清徳行政院長(左)=田中靖人撮影 9月27日、台北市内の行政院で、記者会見する頼清徳行政院長(左)=田中靖人撮影

 台湾では、外交・安全保障・対中関係は総統の権限とされる。頼氏の発言は行政院長の「のりを超えた」ものと批判された。頼氏はその後、「両岸(中台)政策は総統の職権だ」と強調。発言は「個人の主張」で「政治的には蔡総統の指導に従う」と繰り返し、蔡氏も今月1日、中央通信社の単独取材に「彼は自らの立場と政策全体の方向をわきまえているはずだ」と述べて沈静化を図った。

 「二つの太陽」

 蔡氏にとり、「独立」指向の強い頼氏の起用は、もともとリスクをはらんでいた。前任の林全氏は戦後、台湾に来た外省人の2世で無党籍。昨年5月の就任時から独立色の強い民進党の伝統的な支持層からは不人気だった。ただ、同じ学者肌の林氏と蔡氏は気が合ったようだ。蔡氏が9月5日に総統府で頼氏の人事を発表した記者会見には林氏も同席。蔡氏は林氏の功績を高く評価し、さながら「卒業式」(林氏)のようだった。

 一方、頼氏の起用は2018年末の統一地方選に向けた支持率の回復が狙い。蔡氏と近く、頼氏と同じ党内派閥「新潮流派」の長老、陳菊高雄市長らが、地方実務と選挙の経験が豊富な「政治家タイプ」の頼氏を口説き落としたとされる。実際、9月17日公表の民進党系シンクタンクの世論調査で、蔡政権の支持率は頼氏の就任前後で16・6ポイント上昇して46・4%に回復した。

 だが、台湾メディアは、蔡氏と頼氏を「二つの太陽」と揶揄(やゆ)している。今回の騒動は、対中姿勢も政治スタイルも異なる2人の違いが露呈した形で、今後も波乱含みの政権運営が続きそうだ。

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