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【WEB版 島を歩く 酒を造る】(3)まさか清水の舞台があるとは 

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【WEB版 島を歩く 酒を造る】
(3)まさか清水の舞台があるとは 

手を赤くして熱い蒸し米を冷ます松崎記者 手を赤くして熱い蒸し米を冷ます松崎記者

■職人のプライド

 「今日は眠い」

 3日目の午前8時半、学校蔵に集合すると、杜氏(とうじ)の中野徳司さん(41)がそういいながら登場してきた。昨夜は学校蔵に泊まり込み、米麹の温度を一定に保つため、午後9時から1時間半ごとに起きて、かぶせている布の厚さを変えたりしながら温度調節を行っていたのだという。イメージ通りの酒に仕上げるためには一切の妥協を許さない。職人のプライドが垣間見える。だから、蔵人もついていくのだろうと感じた。

 3日目はまず、麹箱に入れてあった米麹を冷蔵室に移す「出麹」を行った後、仕込み室に移動した。

 これから仲仕込み用の麹をつくるのだ。初日と同じように甑(こしき)から取り出した蒸し米をやけどしそうになりながらも必死に手で冷まして麹室(こうじむろ)へ運ぶ。台の上に広げた蒸し米に中野さんが黄緑色の種麹を振りかけていく。

 今回仕込んでいる「辛口産経」はすっきりとした辛口を目指しているため、種麹の量は通常よりも少ない。例えば75キロの蒸し米に対し、通常は75グラムだが、辛口に仕上げるため50~55グラム程度しか使用していないそうだ。水分量も抑えており、麹も育ちにくいため、蔵人にとっては難しい酒なのだという。

 この後、蔵人たちがすでに仕込んでいた酒母(酵母を大量培養させたもの)をタンクに入れる「もと卸し」と呼ばれる作業を手伝った。「(酒母を)こぼしたらお酒が作れないので慎重に」と中野さん。重要な工程に自然と緊張感も高まる。「ためおけ」という直径30センチ、高さ50センチほどの樽型の黄色い容器に酒母をそそぎ、2メートルほどの高さのタンクの前で待っている4年目の蔵人、近藤時男さん(23)に手渡していく。時男さんは毎日ジムに通っていて筋骨隆々だ。腕は普通の男性の足ぐらいの太さがある。元高校球児で一見こわもてだが、はきはきとした話し方をする好青年だ。

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