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【モーリー・ロバートソンが斬る】日本を蝕む「三つ巴の衆愚サイクル」、モリ・カケに見る「悪しき学習」がモンスターを生む

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【モーリー・ロバートソンが斬る】
日本を蝕む「三つ巴の衆愚サイクル」、モリ・カケに見る「悪しき学習」がモンスターを生む

インタビューに答える、コメンテーターのモーリー・ロバートソンさん(松本健吾撮影)  インタビューに答える、コメンテーターのモーリー・ロバートソンさん(松本健吾撮影) 

 --日本で不満が蔓延しているのはなぜですか。 

 モーリー 格差の広がりが不満を醸成しています。経済のグローバリズム化で資本主義のルールが抜本的に変わってしまった結果、「坂の上の宝物」を入手できるのは今や全体のわずか1%ほどです。当初、その坂は仁徳天皇陵のようなこんもりとした緩やかな坂でした。ところが登っている途中で「キスチョコ」のように傾きが激しくなり、転がり落ちる人が出てきました。よほどの野心や生命力や才能がない限り、「のび太くん」みたいな人は坂から転げ落ちる運命にあります。 

 元気も失っています。終戦後の日本人の間では復興に伴い「分配を得られる夢」が共有されていました。それぞれの所得階層にそれぞれの向上心が芽生え、将来が明るかった。ところが、現在は将来が不透明で、人々も暗いんですよね。先日、離婚した直後の38歳の日本人女性と酒を酌み交わしました。その女性は「子供が産めるのはあと3年。でも、日本社会は保守的で、セカンドチャンスがない。女としても見られない」と愚痴っていました。それが事実だとしても、そうした社会から飛びだそう、そうした社会を変えようという若々しいバネが全体的に失われているように感じます。 

 --歯止めをかける策はありませんか? 

 モーリー 他人が設定した「幸せの物差し」で考えることをやめて、「自分はこうしたいんだ!」という希望を自ら見つけ出すことが、不満や不安の嵐から抜け出る方法ではないでしょうか。 

 --戦後の日本は「個性を大事に」と教えてきました。他人が設定した「幸せの物差し」にがんじがらめになっていたというのは少し皮肉ですね。  

 モーリー その「個性」も実は3種類ほどに限定されていて、そのうちのどれかを選ぶことが「個性」だと勘違いしていたのでしょうね。選択肢は狭かったのに、無限にあるように錯覚していたのかもしれません。個性って苦しんで勝ち取らなきゃいけないモノなんだけれども、そのための体力を日本がうまくいっていた時代に身につけられなかったのは残念です。 

 --モーリーさんは番組でPKO日報問題について「戦闘があるところに自衛官がいてはいけないという建前を守るため、死ぬかもしれない場所に自衛官を派遣していたということを堂々と議論できていない」と政府の対応を批判されました。一方、国民に向けても、「『戦争はいやだ』『9条を守れ』と、潔癖に小さくまとまっている」と指摘されました。政府と国民が「現実」から目を背けることができているのはなぜでしょうか。  

 モーリー 単刀直入に言ってしまうと日本が自ら考えて行動することなく、アメリカの核の傘に守られながら平和を享受してきたということですね。日本が軍を持たなくて済んだのはアメリカ軍が駐留していたからです。日本は軍事費を増やさずに済み、徴兵制を敷く必要もありませんでした。しかし、この風呂敷をたたむ時期がとうとうやって来ました。「アメリカファースト」のトランプ政権のもと、日米安保体制が強固ではなくなってしまったからです。 

 加えて、北朝鮮が不安定な状態でICBM(大陸間弾道ミサイル)と核を保有してしまいました。米国が自国民を犠牲にしてまで日本を守る保証はありません。北のICBM実験が成功した段階で、戦後レジームは本当の意味で死滅したのかもしれないですね。このような状況に陥れば、本来は保守政権が「もう甘っちょろいことは言えないぞ。今こそ憲法改正を議論すべきだ」と訴え、国民に「苦い薬」を飲ませなければなりません。しかし、自民党は従来の取り繕った嘘に、野党は駄々っ子のような嘘に加担しています。逃げずに現実を突きつけて、国民を覚醒させる必要があります。

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