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【佐藤優の世界裏舞台】1時間45分も長引いた米露首脳会談の外交的意味を探ってみると…

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【佐藤優の世界裏舞台】
1時間45分も長引いた米露首脳会談の外交的意味を探ってみると…

7日、ドイツ・ハンブルクで会談するトランプ米大統領(右)とロシアのプーチン大統領(AP) 7日、ドイツ・ハンブルクで会談するトランプ米大統領(右)とロシアのプーチン大統領(AP)

 トランプ氏がプーチン氏に対して、昨年の大統領選でのロシアによるサイバー攻撃疑惑について詰問したのは、あくまでも米国内向けのポーズだ。それだからプーチン氏が「証拠を示してほしい」と述べたのに対して、「ほら、これが動かざる証拠だ」と資料を渡すようなことはせずに、お互いの主張を言いっ放しにすることで問題の軟着陸を図っている。

 シリア問題で米露はかなり歩み寄り、〈内戦が続くシリアの南西部に安全地帯を設置する停戦枠組みで合意した〉(同)。シリアでは、ロシア軍とシリア政府軍、さらに米軍の支援を受けたクルド民兵の攻勢により「イスラム国」(IS)が実効支配する地域が急速に減少している。ISの活動家は、エジプト、中央アジア、フィリピンなどに流出を始めている。

 シリア問題で米露が協調することは、ISによるテロの拡散を防ぐ上で死活的に重要だ。シリア南西部での「安全地帯」設置で合意した背景には、米国がアサド政権を打倒するようなことはしないというコミットメントがある。トランプ氏は、目立たないように注意しつつも、ロシアに対して譲歩している。プーチン氏も対米交渉でロシアが有利になったことが極力可視化されないように腐心している。

 北朝鮮の核開発問題について、トランプ氏が〈経済的なつながりがあるロシアの対応を求めたがプーチン氏から明確な合意は得られなかった〉(同)。今回の首脳会談で北朝鮮をめぐる米露間の認識のギャップは埋まらなかったようであるが、お互いの認識と評価の違いを整理したことは、外交的に大きな意味がある。

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