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【佐藤優の世界裏舞台】
南スーダン撤退の裏に高度な情報活動 宗教絡む情勢悪化を分析か
南スーダンは2011年、米国などの後押しを受けてスーダンから分離独立した。しかし、主要民族であるディンカ人のキール氏派と、ヌエル人のマシャール氏派が権力配分などをめぐって対立。13年末ごろから戦闘が激化し、内戦状態に陥った。
15年夏には周辺国の仲介で和平合意が成立したものの、ほどなくして戦闘が再燃した。国内各地で食料や水、医薬品が不足する人道危機が深刻化している。また国連などは南スーダンで「民族浄化」が進行しているとも警告。各地での両派による住民殺害や、女性への性的暴力の実態を調査する必要があるとしている。
そうした情勢の下、今月6日にはスワカ元副参謀長が武装勢力「国民救済戦線」を結成した。スワカ氏は、「あらゆる手段でキール氏を排除する必要がある」と主張して住民に蜂起を求めており、国内の治安が今後、さらに悪化する恐れは強い。〉(11日「産経新聞」)
南スーダンの対立は、ディンカ族とヌエル族の部族対立による要因が大きいが、潜在的にはキリスト教徒とアフリカの伝統宗教(アニミズム)の人々の対立もある。ディンカ族、ヌエル族の双方にキリスト教徒と伝統宗教の信者がいる。