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【満州文化物語(45)】避難民楽しませた週刊誌 占領下のダンスホールやジャズ

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【満州文化物語(45)】
避難民楽しませた週刊誌 占領下のダンスホールやジャズ

週刊誌『週刊國民』。百貨店や娯楽場の広告も出ている(コピー) 週刊誌『週刊國民』。百貨店や娯楽場の広告も出ている(コピー)

 一方の西山はこう書いている。《(広告面には)「長春著名舞踏場案内」で9軒の舞庁が登場。10店が名を連ねる「長春著名喫茶店案内」の広告が載り、敗戦後1年を経て、日本人の生活が安定し始めたことを窺(うかが)わせる。2冊とも、小説、漫画、詩歌などを多く掲載し、娯楽に飢えた人々に安らぎを与えようと試みているようだ》(「満鐵會報」同号)

森繁が作った劇団

 新京放送局のアナウンサーだった森繁久弥(1913~2009年)も終戦後の長春に残されていた。『森繁自伝』にはソ連兵に怪しげな春画を売って食いつないだエピソードや放送局の同僚や内地から来ていた俳優らと“にわか劇団”を作った話が綴(つづ)られている。

 《明日の生命も分からぬ、祖国を失った民々…そんな街の人々とともに、私たちは少しでも、生きる力や勇気や、かすかな喜びや幸福を語り合う時間を持とうとした》

 《チェーホフがあり、夏目漱石があり、尾崎士郎があり、創作があり、演目は検閲を受けるために何の統一もなかった》

 後の大俳優が被占領下の満州で日本人を楽しませようと懸命に演じた芝居。それは先が見えない不安に脅(おび)える人々にわずかでも安らぎを与えたことだろう。あるいは森繁自身がその1人だったのかもしれない。

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