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【至誠の人 楫取素彦物語(85)】中村紀雄 「行きますぞ、群馬に」

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【至誠の人 楫取素彦物語(85)】
中村紀雄 「行きますぞ、群馬に」

 3人の若者は予想外の展開に大いに驚きかつ狂喜し凱戦将軍のような気分で前橋に帰った。仲間の喜びようは大変なものだった。

 「これで、俺たち連合会は大いに勢いづくぞ」

 「僕たちの廃娼運動を天下に示すことができる」

 若者は口々に叫んだ。

 劇場愛宕座が休演の日を会場として使わせてくれることになり、その日に大江も都合がつくということで日も決まった。青年たちは1人でも多くの仲間を集めることが運動の勝利につながると信じ、頑張った。

 その日がやってきた。場内は若者であふれ、立錐(りっすい)の余地なき盛況であった。

 大江卓は万雷の拍手に迎えられて壇上に立った。

 「諸君、今日、芸娼妓(げいしょうぎ)の風習が広く行われていること、この群馬においても復活の動きが見えること、これは明治5年10月2日の御布告の精神に反することです。この弊風を断じて許してはならない。君たち青年会が立ち上がったことには歴史的意味がある」

 大江は開口一番、鋭い口調で叫んだ。明治5年の御布告とは何か。歴史的意味とは何か、大江の一声は若者たちの心を衝(つ)いた。

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