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【平成30年史 大震災の時代】(5)「予知」との決別、踏み切れず 地震学の苦悩…態勢見直しに「東海地震」の呪縛

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【平成30年史 大震災の時代】
(5)「予知」との決別、踏み切れず 地震学の苦悩…態勢見直しに「東海地震」の呪縛

気象庁の地震火山現業室では、24時間態勢で東海地震の前兆現象を監視している=東京都千代田区(荻窪佳撮影) 気象庁の地震火山現業室では、24時間態勢で東海地震の前兆現象を監視している=東京都千代田区(荻窪佳撮影)

 平成23年3月の東日本大震災後、東北大教授(地震学)の松沢暢(とおる)氏(58)は、4月の地震予知連絡会に報告するためにチェックしていた地殻変動のデータに衝撃を受けていた。

 マグニチュード(M)9の巨大地震は、想定される東海地震と同じメカニズムで起きていた。にもかかわらず、東海地震予知の手掛かりとされる「前兆滑り」が観測されていなかった。

 「あれだけの被害を出したM9の地震でも見つからなかった。かなりショックだった」

 東海地震は南海トラフ(浅い海溝)の東端で国が発生を想定するM8の大地震だ。陸地を乗せているプレート(岩板)と、その下に沈み込む海側プレートの境界部が滑って起きる。前兆滑りとは、くっついていた境界部が剥がれ始め、滑りが加速して大きくなっていく現象だ。

 国は25年、前兆現象の科学的な根拠は希薄で、確実な予知は困難とする報告書をまとめている。松沢氏は東日本が起きるまで、前兆滑りを検知できる可能性は五分五分だと思っていた。だが、その期待は裏切られた。

 「(可能性は)1割くらいに減った印象を受けた」

■  ■  ■ 

 東海地震の発生が切迫している、との学説が発表されたのは昭和51年。予知への期待が急速に高まった。わずか2年後には大規模地震対策特別措置法(大震法)が施行。震源域とされた静岡県などが対策強化地域に指定され、世界で例のない予知体制がスタートした。

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