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【野口裕之の軍事情勢】中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? 

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【野口裕之の軍事情勢】
中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? 

 だが、フランスの対中姿勢は慎重に見極めなければならない。対中貿易収支は大幅赤字で、2014年の習近平国家主席の訪仏では新分野での双方向の投資拡大が決定した。

 そもそも、フランスは天安門事件後の対中武器禁輸解除の旗頭に度々立った。2003~05年には、米国の猛反対と英国の“裏切り”で頓挫したが、あと一歩に迫った。解禁の見返りには軍民汎用衛星の受注なども含まれていた。

 昨年6月に中国海軍艦が初めて尖閣諸島の接続海域に入ったが、天安門事件後の建造にもかかわらず、フランス生まれの技術が多用され、ステルス構造やレーダー、機関など殺傷兵器以外ではフランス製が少なくなかった。禁輸対象=殺傷兵器の一部が、人民解放軍にコピーされても対抗措置を採らない。人民解放軍海軍が、フランス海軍の攻撃型原子力潜水艦(SSN)を欲しがっていることも熟知する。フランス製SSNは排水量が小さく、東シナ海~西太平洋かけての浅海での作戦行動に適しているのだ。

 中国と台湾だけでなく敵・味方に平然と武器を売る。フォークランド紛争(1982年)でも、同盟国・英国の駆逐艦など2隻を沈めた交戦国アルゼンチンに、同じ対艦ミサイルを事実上追加供与せんとし、英国にはこのミサイルの弱点を漏らしている。

 フランスとの確固たる協力関係が構築できれば「毒をもって毒を制す」ことができる。けれども、「毒」の取り扱いには覚悟を決めねばならぬ。倒錯している日本国憲法では、わが国の“覚悟”を前文でこう定めている。

 《平和を愛する『諸国』民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した》

 《諸国》にはもちろん、中国は入らない。フランスは該当するのだろうか…。

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