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【至誠の人 揖取素彦物語(75)】中村紀雄 廃娼を…夫に完遂促す

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【至誠の人 揖取素彦物語(75)】
中村紀雄 廃娼を…夫に完遂促す

 寿が亡くなって慌しい日が過ぎた。ある日、清光寺の初代住職、小野島行薫(ぎょうくん)が楫取を訪ねた。

 「墓誌に刻まれた寿さまの様子は、松陰先生の最期もかくやと思わせます」

 「松陰殿と性格がよく似ていた。最後に会えなかったことが残念でならぬ」

 「県会にも難しい問題があると聞きます。楫取家にとって大変な時なのに、御同情申し上げます」

 「実は、寿は県会のある重要案件を気にかけていた。昨年末に出された娼妓(しょうぎ)廃絶の請願のことだ。この問題について、私は妻にそのつど状況を伝えてきた。妻は真宗の立場からも、この請願を実現させて、虐げられた女たちを救いたいと願っていた」

 小野島は承知しております、というように頷(うなず)いた。

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