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【映画深層】映画と演劇の醍醐味がぎっしり詰まった『貌斬り』の細野辰興監督

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【映画深層】
映画と演劇の醍醐味がぎっしり詰まった『貌斬り』の細野辰興監督

映画「貌斬り KAOKIRI」の1場面 (C)2015 Tatsuoki Hosono/Keiko Kusakabe/Tadahito Sugiyama/Office Keel 映画「貌斬り KAOKIRI」の1場面 (C)2015 Tatsuoki Hosono/Keiko Kusakabe/Tadahito Sugiyama/Office Keel

 複雑化してくるのはここからだ。舞台は舞台で完結しており、細野監督は映画化については全く考えていなかった。「僕が思う演劇というのはシリアスじゃないんです。シリアスなものをやっても客席の観客が持っている実人生のドラマには勝てない気がして、少し跳ね上がったものの方が演劇らしいと思っていた。そもそも映画にできないようなものを戯曲にしようと思っているわけですからね」

役者の意識が浮き彫りに

 ところがその後、戯曲を読んだ映画プロデューサーから映画化の話を持ちかけられる。最初は断ったものの、何か方法があるはずだと食い下がられ、これを劇中劇にして映画のプロットと融合させてみたらどうかと思いついた。

 「長谷川一夫の貌斬り事件は、戯曲を書いたときから芸能界の非近代性を代表するものじゃないかと思っていた。だったら誰もがタレントになれる現代と対立させてみたら、芸能の民の持っている非近代性が浮き出てくるんじゃないか。何か僕の中で一つにすっとまとまっていって、一気に脚本を書いてみたんです」

 こうしてできたプロットは、「スタニスラフスキー探偵団」を演じている役者たちの舞台裏を、表舞台と同時進行で描いていくという画期的なものだった。映画の設定は、今まさに舞台の千秋楽が幕を開けようとする瞬間。助監督役の俳優が行方不明になり、プロデューサー役を演じる女優が降板を言い出す中、監督役の俳優は持病を悪化させて最後まで演じきれるかどうか分からない。プロデューサー役の代役に引退を決めている別の女優を当てて急場しのぎの幕が開くが、さて、という説明では、やはり複雑すぎるだろうか。

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