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【至誠の人 揖取素彦物語(64)】中村紀雄 「県庁はぜひ前橋に」

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【至誠の人 揖取素彦物語(64)】
中村紀雄 「県庁はぜひ前橋に」

 ここで善太郎は懐から1枚の紙を取り出した。

 「築城願いの要点をお聞きください」

 善太郎は一語一語をかみ締めるようにして読んだ。要点は前橋は関東の要衝の地であり、昔から物産に富んでいる、そこに城を築き直克の本拠とすれば幕府が最も望んでいる富国強兵を実現する絶好の場所となるというものだった。

 「どうです閣下、この築城願いの文は、今の明治政府の政策にもぴたりと当てはまるではありませんか」

 楫取は善太郎の懸河(けんが)の弁に聞き惚(ほ)れていた。それは弁舌の爽やかさだけではない、その中身が一言一言胸に響くのだった。

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