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【至誠の人 揖取素彦物語(63)】中村紀雄 博徒上がりの大商人

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【至誠の人 揖取素彦物語(63)】
中村紀雄 博徒上がりの大商人

 「文久3年といえば、長州では攘夷の真っただ中、外国船を盛んに砲撃した年です。その翌年には禁門の変が起き、わが義弟が自刃いたし、長州は幕府の長州征伐を受け、また、外国の報復を受けた。その頃に前橋城の再築が行われていたとはのう。あの頃を思い出すと、感無量です」

 楫取は生糸業者の話を聞き、下村善太郎という人物に対する興味を募らせた。

 明治9年8月、地方行政区画の変更があり、熊谷県を群馬県となし、栃木県に属していた東毛3郡を群馬に入れ、鶴舞う形の群馬県が成立した。このとき、公文書では、県庁は「高崎に置く」と定められていた。

 このことが公表された後のある晩、楫取家に一人の来訪者があった。書生から聞いて、楫取は驚いた。

 「何、下村善太郎と申すか。お通しせよ」

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