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【ドゥテルテ・ショック(下)】南シナ海二転三転 国民世論・中国の懐柔両にらみ

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【ドゥテルテ・ショック(下)】
南シナ海二転三転 国民世論・中国の懐柔両にらみ

 フィリピン海軍は12年、同礁近くで不法操業していた中国漁船の摘発をめぐり中国の監視船とにらみ合いになったが、天候悪化を理由に軍を引いてしまった。それ以来、中国は同礁の実効支配を進め、周辺海域からフィリピン漁民を排除し続けている。仲裁裁定は違法と認定したが、中国は裁定を「紙くず」とした。

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 中国にとって今回の首脳会談は、仲裁裁定の順守を求める日米と、当事国フィリピンを引き離す好機。ドゥテルテ氏の「独立外交路線」を持ち上げ、米国の「リバランス(再均衡)」政策に打撃を加えられる。

 もっとも、フィリピン側の全面勝訴だった仲裁裁定を完全放棄させる困難さは中国側も認識している。ドゥテルテ氏率いる事業家数百人の訪中団との間で30億ドル(約3120億円)以上の商談を結ぶほか、フィリピン初の高速鉄道建設などインフラ支援を前面に出して“雪解け”演出を狙う。

 ドゥテルテ氏は昨年11月末、「祖父は中国人だった。俺が単身で中国に乗り込めば、拡張をやめるようお願いするから問題はなくなる」と、南シナ海問題の解決を楽観してみせた。だが、同じく中国人の血を引くアキノ前大統領も、スカボロー礁を奪取されて反中親米路線に傾いた。

 「言動は予測不能」(側近)とされるドゥテルテ氏。中国が思惑どおり懐柔できるかは不透明だ。(マニラ 吉村英輝、北京 西見由章)

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