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【震災2000日を歩く(2)】娘が生きた証し「娘の死に場所を粗雑にしておけない」

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【震災2000日を歩く(2)】
娘が生きた証し「娘の死に場所を粗雑にしておけない」

掃除のため役場の旧庁舎を訪れた上野ヒデさん。じりじりと真夏の太陽が照りつける=岩手県大槌町(桐原正道撮影) 掃除のため役場の旧庁舎を訪れた上野ヒデさん。じりじりと真夏の太陽が照りつける=岩手県大槌町(桐原正道撮影)

 8月の太陽が無残な姿をさらす岩手県大槌町役場旧庁舎の壁に照りつける。

 上野ヒデさん(74)が旧庁舎前の献花台から枯れた花を取り出す。水を換え、ごみを拾い集める。日差しを遮るものはなく、足下の影がアスファルトに色濃く映る。

 旧庁舎は東日本大震災の津波にまるまるのみ込まれた。当時の町長と39人の職員らが死亡。一人娘で町職員の芳子さん=当時(33)=も命を落とした。

 献花台の掃除は1~2週に1回のペースで続けている。

 「娘の死に場所を粗雑にしておけない」

 旧庁舎は震災遺構として残すかどうかで振り子のようにゆらゆらしている。

 「震災の教訓を後世に伝えるため、残存させる必要がある」

 「庁舎を見るたびにつらい記憶がよみがえり、一日も早く取り壊してほしい」

 町民が保存派と解体派に分かれて意見をぶつけた。

 上野さんは保存を望んでいる。

 「役場は娘が10年近く勤め、生きた証し。このまま跡形もなくなったら娘の死が無駄になってしまう。壊してから残しておけばよかったとなっても、後の祭りだ」

 存廃の適否を話し合う町検討委員会の意見陳述の場で持論を述べた。

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