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【東秩父物語(3)】ヒグラシの鳴き声のシャワー 圧倒する自然に憧れて…都会から移住して陶芸や喫茶店経営

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【東秩父物語(3)】
ヒグラシの鳴き声のシャワー 圧倒する自然に憧れて…都会から移住して陶芸や喫茶店経営

30年前の移住時を振り返る荻野二郎さん=埼玉県東秩父村白石 30年前の移住時を振り返る荻野二郎さん=埼玉県東秩父村白石

 「ヒグラシが一斉に鳴くのを聴いたことがありますか。1日2回、明け方の午前3時と夕方の陽が落ちる前ぐらいに、『カー』とすごい声で鳴くんです」

 「カナカナ」どころではないらしい。山のヒグラシのシャワーを教えてくれたのは、陶芸家の荻野二郎さん(66)だ。昭和61年に浦和市(当時)から埼玉県東秩父村白石の山奥に移住し、以来30年、「蜩窯(ひぐらしがま)」を営んでいる。

 「窯の名前は移住前から考えていて、『火で暮らす』と『その日暮らし』にかけた。でも本当は、ヒグラシの声を聴くと心の中にわき上がる、わびしいような寂しいような、それでいて懐かしい感覚を焼き物に表現できたらいいなという気持ちだった。ここでヒグラシが鳴いたのは、たまたまだったんです」

 32歳まで都内の社団法人日本広報協会に勤務。「組織に属するのが合わなかった」のと、取材で知り合った年下の陶芸家の生き方にひかれて退職し、愛知県立窯業職業訓練校に通うなどして陶芸を学んだ。

 薪窯は煙が出るため住宅密集地では営めず、薪を置く広い場所も必要になる。最終的に同村で約420坪の土地と空き家だった農家の家を借り、妻と子供2人とともに引っ越した。

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