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【至誠の人 揖取素彦物語(48)】中村紀雄 「私も孟子でいこう」

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【至誠の人 揖取素彦物語(48)】
中村紀雄 「私も孟子でいこう」

 「私は夕べ一晩考えた。松陰が伊之助殿によい言葉を残したそうだな。これも幻馬殿から聞いたのだが、至誠にして動かざるは未だ之有らざるなりか。孟子の言葉。この言葉を抱いて黒船に乗り込むとは純粋にして大胆。松陰の大きさが大事を前にして今、分かったのだ。馬関に向かう私は、あの時の松陰と同じ。長州を黒船と考え、この誠意で体当たりしようと思う」

 「龍馬殿、よくぞ言ってくれた。私は松陰に代わって礼を申します」

 伊之助は思わず、龍馬の手を固く握りしめた。

      ◇

 「長州藩は伏罪使を出頭させよ」

 敗れた長州に対して幕府はけじめをつけねばならない。しかし、晋作の挙兵によって正義派が復権を果した長州は幕命に従わなかった。幕府は何度も出頭を命じたが、長州藩は藩主の病気を理由に応じない。

 藩主敬親(たかちか)は4支藩の藩主たちを山口藩庁に集めて協議した。敬親は言った。

 「今こそ、わが藩は関が原以来、堅持した藩是を果たすとき。そのためには、われらは一致結束しなければならぬ。藩祖の3本の矢の教えを最大限に生かすべきです。4藩の結束、つまり4本の矢ですぞ」

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