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【江藤詩文の世界鉄道旅】タリス(2)オフィスは“紅い列車” ジャージで働くクリエイター達

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【江藤詩文の世界鉄道旅】
タリス(2)オフィスは“紅い列車” ジャージで働くクリエイター達

ひと際目を引くビジュアルのタリス ひと際目を引くビジュアルのタリス

 静かな車内には、カタカタカタカタッと、パソコンのキーボードを叩く音だけがこだましていた。私の隣り、窓際に座った茶色の長い髪の眼鏡をかけた女性は、窓枠に肘をつき頭をもたせかけるようにして熟睡している。車窓を眺めようにも視界を確保できず、満席で通路にまでスーツケースがはみ出した列車内をうろうろするのも気が引ける。所在ない気分で手慰みにスマートフォンをいじっていた。

 出発してほどなくすると、車掌が検札にやって来た。グレーのパンツスーツに身を包んだ、おそらく50代の女性。同色の布地にワインレッドの縁取りのついた帽子をちょっと斜めにかぶり、強くウェーブした金髪を肩まで伸ばしている。「ありがとうございます。どうぞよい旅を」。乗車券を確認すると、小さな声できれいな英語をひとこと残し、きびきびとした足取りで去っていった。

 そのすぐ後、またもや女性がやって来た。何やら書類をクリップしたボードを持っている。彼女は英語をあまり話さないらしい。「オランダ語を話しますか」と問われたけれど、あいにく私がわかるオランダ語は「ヤー(はい)」「ネー(いいえ)」「アルコール」くらい。助け船を出してくれたのは、通路を挟んで隣りに座った男性だ。「あなたがスマートフォンを使っているから、Wi-Fiの使用感ついてアンケートをお願いしたいそうですよ」。

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