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【匠を訪ねて(1)】iPod裏面の鏡面研磨にも「命吹き込む」…小林研業・小林一夫社長(71)

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【匠を訪ねて(1)】
iPod裏面の鏡面研磨にも「命吹き込む」…小林研業・小林一夫社長(71)

ステンレス箔の表面を磨く職人=新潟市西蒲区の小林研業

 田んぼの中に研磨業、小林研業(新潟市西蒲区)はあった。50坪に満たない工場に研磨機が数台置かれ、集塵(しゅうじん)機のモーター音が響く。小林一夫社長(71)が昭和37年に創業し、半世紀を超えたいまも磨き一筋だ。かつては鍋などが中心だったが、現在は高度な技術を要する製品も手がけている。

 工場では、30代の職人が厚さ0・08ミリのステンレス箔(はく)の鏡面処理を行っていた。研磨機には洋菓子のバウムクーヘンのような形で、布を重ねた羽布(バフ)がセットされている。高速回転するバフに研磨剤を付けて当てるとステンレス箔がみるみるうちにピカピカになった。

 西蒲区に隣接する燕市の燕研磨振興共同組合によると、金属加工は型、溶接、めっき、磨きとそれぞれに専門業者がおり、磨きは製品に「命を吹き込む」大切な役回りだ。磨く対象はタンブラー、チタン人工骨、道路のカーブ用ミラーなど幅広い。

 小林社長によると、燕市周辺の「磨き屋」(研磨業者)は最盛期の昭和50年前後には1700事業所ほどあった。だが、人件費が安い中国の追い上げに遭い激減し、現在は「500くらい」という。

 小林研業は平成10年頃、「大口を考えず、1個を大事にしよう」と専門性の高い部品磨きに方向変換した。燕市周辺の磨き屋が扱うのはステンレスが主流だが、アルミニウム、チタン、マグネシウム、銅などでも「うちの場合どれも90点を出す」(小林社長)と汎用性の高い技術力を特長に挙げる。

 ただ「どういう研磨材料を使うかが第一。2番目は何とかものにしようという意欲。3番目に技術だと若い人には言っている」と、技術よりも材料選びや意欲が大事だと断言する。

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