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【正論】「植民地は放棄せよ」「外交は損得勘定で」…ポピュリズムに抗した石橋湛山 大阪大学名誉教授・猪木武徳

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【正論】
「植民地は放棄せよ」「外交は損得勘定で」…ポピュリズムに抗した石橋湛山 大阪大学名誉教授・猪木武徳

猪木武徳大阪大学名誉教授 猪木武徳大阪大学名誉教授

 また石橋のデモクラシー論も単なる理想主義に終始していたわけではない。いかに地方自治が健全なデモクラシーの土台であるのかを強調し、大正末の日本の政治と行政の過度の中央集権化を批判したのである。

 ≪理性に根ざす「公論」の形成を≫

 これらの石橋の言論は、当時の日本の世論の主流を形成することはなかった。石橋に共鳴した人間は少なからずいたとしても、ポピュリズムに圧殺され、「公論」としては顕在化しなかったのだ。

 この点は、はたしてメディアが感情に根差すポピュリズムではなく、「公論」をつねに形成できるのかという問題と関係する。

 湛山が論陣を張った『東洋経済新報』は創刊時の約3000から1万ほどの発行部数であった。限定された読者数であったからこそ、「公論」が展開できたのであろう。

 現代日本の大新聞は数百万単位の発行部数を誇る。だがそれほど多くの読者を満足させるような「公論」を展開するのは難しい。概して読者は自分とは異なる意見は読みたがらないのだ。

 日本に「週刊誌」はあるが、「公論」形成の場となりうる欧米のような「週刊新聞」がなく、日刊紙、テレビ、インターネットが国民にとっての主な情報源になっている。これらは、日々の出来事に関する情報を時々刻々提供してくれるが、週単位、月単位で問題を見直すという視点を持つための助けにはならない。

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