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【国を守る覚悟】「現場で何が起きるかわからない」PKO活動 自衛官のリスク、国民にきちんと説明を

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【国を守る覚悟】
「現場で何が起きるかわからない」PKO活動 自衛官のリスク、国民にきちんと説明を

過酷な任務を終え、南スーダンPKOから自衛官らは無事帰国した 過酷な任務を終え、南スーダンPKOから自衛官らは無事帰国した

 国連では「駆けつけ警護」は本来、歩兵大隊が担う。一方、今回、新たに「駆けつけ警護」の任務を付与された南スーダン派遣施設隊は輸送隊や施設隊だ。これまで道路や橋梁(きょうりょう)の維持補修、それに伴う輸送などの任務を行っており、「駆けつけ警護」はあくまでも緊急的な任務に過ぎないのだ。

 南スーダン派遣施隊に「駆けつけ警護」任務を付与するための国会での議論も、国連PKOの運用原則や実情と大きく乖離(かいり)していた。

 政府は首都ジュバで起きた「戦闘」を「衝突」と言い換え、野党は「戦闘」と主張するなど双方の議論はかみ合わなかった。自衛隊員の任務とリスクという最も大事な認識でズレが生じていた。

 そもそも、PKOの派遣地域がまったく平穏で安全な地域ならば、自衛隊が行く必要はない。見た目は平穏でも、危険なことが発生する可能性があるから、各国は軍隊を派遣しているのだ。国連と認識を共有するためにも「PKO参加5原則」「武器使用基準」の更なる見直しは欠かせない。

 自衛官は「現場で何が起きるかわからない」という「覚悟」を持って現地に向かっている。だからこそ、政府は国民にPKO活動には高いリスクが伴うことを正面からきちんと説明すべきだし、国民にも理解していただきたい。また、野党は自衛官のリスクを政局に利用しないでほしい。

 政府と国民は危険を承知で、国家・国民のリスクを背負い覚悟を決めてPKOに行く自衛隊を尊信の念を持って見送り、彼らが任務を達成した暁には心からの慰労と感謝、そして栄誉を与えていただきたい。 =おわり

 ■火箱芳文(ひばこ・よしふみ) 1951年、福岡県生まれ。74年3月、防衛大学校(18期生)卒業後、陸上自衛隊に入隊。第3普通科連隊長(名寄)、第1空挺団長(習志野)、第10師団長(名古屋)、防大幹事(副校長、横須賀)、中部方面総監(伊丹)を歴任し、2009年3月に第32代陸上幕僚長に就任。東日本大震災に陸幕長として対応した。11年8月に退官。現在三菱重工業顧問、国家基本問題研究所理事、偕行社理事、筑波大非常勤講師、全日本柔道連盟常務理事などを務める。柔道5段。著書に『即動必遂』(マネジメント社)。

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