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【天皇陛下譲位】玉座を胸壁とするなかれ 天皇の政治利用を避けるため「お気持ち」表明は今回限りに…

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【天皇陛下譲位】
玉座を胸壁とするなかれ 天皇の政治利用を避けるため「お気持ち」表明は今回限りに…

天皇陛下の譲位への対応などを検討する「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(第13回)の会合に臨む座長の今井敬経団連名誉会長(右から2人目)ら=4月13日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影) 天皇陛下の譲位への対応などを検討する「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(第13回)の会合に臨む座長の今井敬経団連名誉会長(右から2人目)ら=4月13日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)

 国会で衆参両院正副議長が与野党の意見を調整して見解をまとめるのを待ち、活動を休止するなど、国論を割らないように注意深く議論を進めることもした。

 ただ、最終報告に至る努力とその中身はうべなえても、今回の譲位論議の発端が、いかに特異だったかを忘れてはならない。

 「陛下のお言葉はかなりイレギュラーな形で出た。憲法違反じゃないかという意識は、メンバーみんなどこかにあったと思う」

 有識者会議の一人はこう率直に明かす。「明治以降、崩御以外で天皇は代わらないというのは、無用な争いや恣意的な要素を防ぐための先人の知恵だった。だが、陛下のお言葉で(災厄を封じた)パンドラの箱は開いてしまった」と語るメンバーもいた。

 天皇陛下は平成22年から参与会議で譲位の意向について言及されていた。にもかかわらず、宮内庁がそれを首相官邸側にきちんと伝えてこなかったため、結果として「お気持ち」表明という違憲の疑義がぬぐえない事態に立ち至ったのだ。

 宮内庁と官邸が水面下で相談、調整し、内閣の自主的判断という形で譲位の検討を公表すれば、憲法上の問題はクリアできていた。

 今回の事例が前例となって将来、時の天皇により「お気持ち」表明が繰り返されるようなことがあってはならない。そうなれば、「玉座の蔭に隠れて政敵を狙撃するがごとき挙動」(尾崎)を取る者が出て、政治利用に走る懸念は否定できない。それは単なる政争にはとどまらず、国家の安定そのものを揺るがしかねない。

 (阿比留瑠比)

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