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日露の温度差くっきり…北方領土返還に2つの壁「特別な制度」+「プーチン大統領の決断」
北方領土での共同経済活動などをめぐる18日の日露次官級協議は、冒頭から四島の主権をめぐるつばぜり合いが展開された。
秋葉剛男外務審議官「双方の法的立場を害さないという原則に立ち、平和条約締結という共通目標に向けて前進していきたい」
モルグロフ露外務次官「ロシアの法律に矛盾しないような条件に基づいて実現しなければならない」
モルグロフ氏が「ロシアの法律」と発言した背景には、北方領土がロシア領であるとの立場を強調する意図が透けて見える。主権問題に敏感な露外務省は次官級協議に後ろ向きとされ、日本側が望んだ2月の開催は実現しなかった。
日露間の温度差は、次官級協議の顔ぶれにも表れた。日本側は外務省だけでなく、経済産業省や農林水産省などの担当者がずらりと顔をそろえた。しかし、露側の出席者は個別の事業に精通していない外務省関係者のみだった。日本側交渉担当者は「本来なら各省庁が参加することが望ましい」と語る。
「まず利益が生まれることを具体的に話し合い、これを実現するために何を解決すればいいか話し合う」
外務省幹部は今回の次官級協議の狙いについてこう述べる。露政府の眼前にニンジンをぶら下げることで、事態打開を図りたいというわけだ。
だが、北方領土返還という大目標に至る道のりには2つの壁が立ちはだかる。