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【北方領土 屈辱の交渉史(5)】「抑留者の命には限りがある」 領土問題棚上げでも日ソ国交回復急いだ鳩山一郎

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【北方領土 屈辱の交渉史(5)】
「抑留者の命には限りがある」 領土問題棚上げでも日ソ国交回復急いだ鳩山一郎

北方領土・色丹島の斜古丹に設けられた、ソ連軍戦車の車体を使った第2次大戦を記念するモニュメント=10月20日(共同) 北方領土・色丹島の斜古丹に設けられた、ソ連軍戦車の車体を使った第2次大戦を記念するモニュメント=10月20日(共同)

 10月19日の日ソ共同宣言の調印式はクレムリンで行われた。日本側から鳩山、河野、松本の3人、ソ連側からブルガーニンと外相のドミトリー・シェピーロフの2人がひな壇に並んだ。

 宣言には「領土問題を含む」の文言はなかったが、日本側は、同時発表された松本・グロムイコ書簡によって択捉、国後の継続協議は約束されたと解釈した。一方、ソ連は「途中経過の文書であり、共同宣言により効力は失われた」とみなした。

 玉虫色決着ではあるが、これでシベリア抑留者の帰還に道が開けた。12月18日には、日本の国連加盟が国連総会で全会一致で承認された。鳩山は自らの回顧録にこう記している。

 「一部に択捉、国後を取らないうちは断じて日ソ復交はすべきではないなどと言っている人のいることも知っていたが、それこそ抑留者のことなど少しも念頭に置かない非現実的な考え方だ。領土は何年たってもなくなることはないが、人の命には限りがある」

 実際、帰国した鳩山を国民は喝采で迎えた。東京・音羽の邸宅周辺は日の丸であふれた。邦夫の兄で元首相の鳩山由紀夫は子供心に「大パパはすごいことをしたんだな」と感じたという。

(敬称略)

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