産経フォト

「運慶」22体が一堂に 東京・上野【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

白洲信哉 旅と美

「運慶」22体が一堂に 東京・上野【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

更新 tta1709300001
「運慶」22体が一堂に 東京・上野【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

 平安時代末期から鎌倉時代初頭にかけて、源平合戦という大動乱期。奈良京都を拠点に仏師集団を率い、平家の焼き討ちによって灰塵と帰した興福寺や東大寺の復興に尽力し、写実的で力強い数々の仏像を生み出した仏師・運慶及び工房作品を中心とした過去最大規模の展覧会が、東京上野の東京国立博物館で開かれている。

 とくに来年10月に落慶法要を厳修予定である興福寺中金堂再建記念と謳っていることもあり、肖像彫刻の最高峰という無著・世親菩薩立像(国宝)の今にも瞬きしそうな写実性を、取り囲むように高さ2メートルを超える四天王像(国宝 興福寺南円堂)が立ち並ぶ姿は圧巻である。何よりはほとんどの作品が360度四方から見ることが出来ることだ。

 ややライトが強い感じもするが、お堂のなかでは味わえない、よりリアルなのは展覧会ならではである。僕の好みは脇に置いて、こうした彫刻を眺めていると、わが国の文化は、というか美術品と言うのは時代の魂であり、いかに大陸の影響を強く受けたことがよくわかる。

 運慶作は三十数体(諸説あり)うちの全国から二十二体が集結する大展覧会は、11月26日(日)まで。来年1月13日(土)~3月11日(土)神奈川県立金沢文庫にて開催予定の二つの運慶展をみることで、その全貌がさらに明らかになると思う。(文・パノラマ写真 白洲信哉氏)
(撮影機材:リコー THETA S )

 【プロフィル】白洲信哉(しらす・しんや) 文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。平成25年から骨董(こっとう)・古美術の月刊誌『目の眼』編集長。