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「ボストン美術館の至宝」、上野で展示【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

白洲信哉 旅と美

「ボストン美術館の至宝」、上野で展示【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

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「ボストン美術館の至宝」、上野で展示【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

 世界屈指の美の殿堂、米国ボストン美術館約50万点もの作品から、80点を選りすぐった「ボストン美術館の至宝展」が、東京上野の東京都立美術館で開かれている。展覧会は古代エジプト美術から、村上隆などの代表される現代美術まで渡っており、古今東西総合的な展示構成になっている。

 同館は、1870年設立以来、国や州等の財政的な援助を受けずにコレクションの拡充を続けていて、私財を投じた富豪の情熱と、その視線の広さが感じられる展示になっている。

 明治政府の神仏分離令や、清朝末期の混乱期に、岡倉天心や、フェノロサが、日本の仏教美術や中国絵画等の蒐集のための基金を設立するきっかけとなった「五百羅漢図」をはじめ、日本国外に所在する最大の日本美術コレクションの一端が感じられる。

 大森貝塚の発見で知られたモースや、その友大富豪であったピゲローは、日本に長期滞在し、同館においても最大の寄贈者となっている作品や、修復され日本初公開の英一蝶「涅槃図」など見所あるのだが、最大の見所はゴッホのルーラン夫妻が並んで展示されていることだろう。

 個人的にはその隣にあった未完のドガに魅せられた。同様に寄贈者であるスポルデイングの名が画の横に記されていて、コレクターの社会貢献が永遠と残り、それが社会の一つの美徳となっている米国が羨ましくも思う展覧会である。10月9日(月、祝)まで。(文・パノラマ写真 白洲信哉氏)
(撮影機材:リコー THETA S )

 【プロフィル】白洲信哉(しらす・しんや) 文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。平成25年から骨董(こっとう)・古美術の月刊誌『目の眼』編集長。