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【News撮】小さな船旅 水都の日常 大阪市営渡船の風景

自然・風景

【News撮】小さな船旅 水都の日常 大阪市営渡船の風景

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高層ビル群をバックに木津川を渡る落合下渡船。今も変わらない営みが人々の生活を支えていえる =大阪市 高層ビル群をバックに木津川を渡る落合下渡船。今も変わらない営みが人々の生活を支えていえる =大阪市
ループ構造が特徴的な千本松大橋(奥)のたもとから発着する千本松渡船 =大阪市大正区
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ループ構造が特徴的な千本松大橋(奥)のたもとから発着する千本松渡船 =大阪市大正区フルスクリーンで見る 閉じる

 水色と白のツートンカラーの小さな船に、自転車を押した学生やおばちゃんが乗り込んでいく。「ガラガラ」と音を立て、乗組員が引き戸を閉めると、船は静かに船着き場を離れた。大阪の高層ビル群をバックに、1~2分で対岸に到着。日々繰り返される、大阪市営渡船ののどかな運航風景だ。

 「沖縄もんのお店で島らっきょうを買った帰り」と話すのは橋本玲子さん(71)。大正区と西成区を結ぶ「千本松渡船」に乗って月に2~3回、買い物に出かける。木津川を横断する約230メートルの小さな“船旅”は気分転換に持ってこい。「渡船は風が気持ちいい」という笑顔がさわやかだ。

夕日を受ける天保山渡船。暮れゆく日差しが郷愁を感じさせる =大阪市
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夕日を受ける天保山渡船。暮れゆく日差しが郷愁を感じさせる =大阪市フルスクリーンで見る 閉じる

 渡船の待合室の上には、めがね橋の愛称で知られる千本松大橋が架かるが渡船のお客が減ることはない。

 水都・大阪には古くから渡船場が点在した。木津川、尻無川、安治川など、水路を使って物資を運ぶ大型船が絶えず、橋を架けられなかったためだ。

帆船型観光船サンタマリア号(左)と天保山渡船 =大阪市(恵守乾撮影)
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帆船型観光船サンタマリア号(左)と天保山渡船 =大阪市(恵守乾撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 ピーク時の昭和10年ごろには31カ所、年間約5752万人の利用客を誇った。

 戦後、巨大な橋も建設されたが、千本松大橋の高さは30メートル以上。試しに歩いてみると、ループ構造の橋は距離が長く、勾配もきつい。今年の酷暑ではとても歩こうという気にならない。48年の橋の完成とともに廃止される予定の渡船が、地元住民の要望で存続したのも納得できる。

夕暮れの中を進む天保山渡船 =大阪市(恵守乾撮影)
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夕暮れの中を進む天保山渡船 =大阪市(恵守乾撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 現在は大正区を中心に8カ所の渡船場があり、15隻の船が年間174万人を運ぶ。道路法上で渡船は道路扱いとなるため運賃はすべて無料だ。

 船長や乗組員を務めるのは市建設局河川・渡船管理事務所の職員76人。いずれも全渡船場での勤務経験を持つベテランぞろい。

西日を浴びる千本松渡船 =大阪市(恵守乾撮影)
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 長く渡船の船長を務めた管理事務所の職員は「川幅が狭いので他船の波の影響を受けやすく、操船には気を使います。若い頃は空き時間を見つけては訓練したものです」と話す。

 水の都に今も残る渡船。あなたも一度、味わってみてはいかがだろうか。(写真報道局 恵守乾)

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