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【News撮】自由・平等・博愛の現実 移民の街、もうひとつのパリ

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【News撮】自由・平等・博愛の現実 移民の街、もうひとつのパリ

更新 sty1804120001
サン・ドニ駅近くで子供を抱く男性。パリ中心部の観光地から少し足をのばすだけで、現代フランスが移民によっても成り立っていることが実感できる =3月11日、パリ郊外セーヌ・サンドニ県(安元雄太撮影) サン・ドニ駅近くで子供を抱く男性。パリ中心部の観光地から少し足をのばすだけで、現代フランスが移民によっても成り立っていることが実感できる =3月11日、パリ郊外セーヌ・サンドニ県(安元雄太撮影)
セーヌ・サン・ドニ県のラ・クールヌーヴ市に立つマンモス団地。都市政策によって多くの移民が集められた =3月11日(安元雄太撮影)
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セーヌ・サン・ドニ県のラ・クールヌーヴ市に立つマンモス団地。都市政策によって多くの移民が集められた =3月11日(安元雄太撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 壮麗な宮殿や美しい並木道で彩られたフランス・パリ。世界遺産の街を後に、地下鉄で北に向かうと、すぐにマンモス団地が立ち並ぶ地区に入る。アフリカ系の人々が行き交い、アラビア語の看板も多い。「花の都」のもうひとつの顔だ。

 パリ郊外セーヌ・サン・ドニ県は、移民の多い地区。同県ラ・クールヌーヴ市の団地で、バイクを走らせる若者たちに話を聞いた。

 「俺たちは隔離されているようなものだ。危ない奴もいるから気をつけな」。そう話すのはマリ系のジェラール・マティウさん(26)。生活が厳しく将来も描けないのだろうか、ジョー・ダルトンさん(18)は「俺たちはここで生まれて、ここで死ぬんだ」と、あきらめ顔でつぶやいた。

 フランス国立統計経済研究所によると、移民1世とその子供たちは2014年時点で1300万人と、総人口の2割を超える。移民1世で一番多いのは植民地があったアフリカ大陸出身者で約4割。

2015年のパリ同時多発テロの容疑者が射殺された建物。壁には「神は偉大なり」「SOS」などの文字が書かれている =3月8日(安元雄太撮影)
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2015年のパリ同時多発テロの容疑者が射殺された建物。壁には「神は偉大なり」「SOS」などの文字が書かれている =3月8日(安元雄太撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 第二次大戦後に、復興の労働力として流入した1世は、スラムで過酷な生活を強いられた。1970年代に入ると、郊外に建設された家賃の安い団地への入居が急速に進むが、その代償として地域の貧困化が問題になる。

団地でサッカーをして遊ぶ。親の出身国は違えど子供はすぐに友達同士だ =3月7日、パリ郊外(安元雄太撮影)
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団地でサッカーをして遊ぶ。親の出身国は違えど子供はすぐに友達同士だ =3月7日、パリ郊外(安元雄太撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「日本には人種差別はないの?」。同県オーベルヴィリエ市に住む、アルジェリア系の高校生、カリム・バンクス君(16)に聞かれ、言葉に詰まった。

 「フランスにはあるよ。フランスで生まれたのに、『フランス人』じゃない。パリに行ってもバカにされる。ムスリムだもの」

エッフェル塔をバックにキスをするカップル =3月11日(安元雄太撮影)
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エッフェル塔をバックにキスをするカップル =3月11日(安元雄太撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「自由・平等・博愛」を謳(うた)うフランスの現実だ。

 2015年に発生した、風刺週刊紙「シャルリー・エブド」襲撃事件やパリ同時多発テロなど事件のたびに、移民やイスラム教徒に注目が集まる。

 同県モントルイユ市にあるイスラム教のモスク「マスジド・アル・ウンマ」のイマーム(説教師)、オスマン・マゲドさん(55)は、「事件以降、イスラム教徒に対する社会の雰囲気が疑り深いものになっています。怖がっているのでしょう」と話す。

 社会の分断にどう向き合うべきか聞いてみると、「政府もイマームもジャーナリストも、みんなが責任感を持って話すことでしょう」と答え、こう付け加えた。

焼き串屋台の煙が立ち上る、サン・ドニ駅前 =3月11日、パリ北郊セーヌ・サン・ドニ県サン・ドニ市(安元雄太撮影)
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焼き串屋台の煙が立ち上る、サン・ドニ駅前 =3月11日、パリ北郊セーヌ・サン・ドニ県サン・ドニ市(安元雄太撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「『自由・平等・博愛』はなくなったら困る酸素と水のようなものです」

 ことばを使って、貴重な“酸素と水”を社会のすみずみまで行き渡らせる-。それは、フランスだけでなく日本にとっても大きな処方箋となるだろう。(写真報道局 安元雄太) 

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