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【水にっぽん】神秘まとい 海人が舞う 八重山諸島の潜り漁 

自然・風景

【水にっぽん】神秘まとい 海人が舞う 八重山諸島の潜り漁 

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コブシメを捕らえた親川和行さん。コブシメの吐き出した墨で黒いベールが広がった =沖縄県八重山諸島(彦野公太朗撮影) コブシメを捕らえた親川和行さん。コブシメの吐き出した墨で黒いベールが広がった =沖縄県八重山諸島(彦野公太朗撮影)
石垣島に虹がかかる。エメラルドグリーンの海と美しいコントラストをみせた =沖縄県八重山諸島(彦野公太朗撮影)
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石垣島に虹がかかる。エメラルドグリーンの海と美しいコントラストをみせた =沖縄県八重山諸島(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 黒い煙をまとった風神が海の中を暴れまわると、青く輝く海が黒いベールに包まれていく。闇の中に水中銃を手にした「海人(うみんちゅ)」が垣間見える。もがきながら墨を吐き出すのは、イカの仲間のコブシメだ。海人が銛(もり)でとどめを刺すと、水中銃を次の獲物へと向けた。

とらえた魚を浮きのついたロープに吊るして、海中を移動する =沖縄県八重山諸島(彦野公太朗撮影)
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とらえた魚を浮きのついたロープに吊るして、海中を移動する =沖縄県八重山諸島(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 沖縄県八重山諸島で、「潜り漁」を営む親川和行さん(47)。30年にわたり、八重山の海に潜り続けるベテランの海人(漁師)。

 特に潜りをする海人を「潜人(ウリヤーサー)」と呼んでいる。

 親川さんは石垣市の登野城(とのしろ)漁港の近くに暮らす。漁船までは歩いて2~3分の距離。海のようすをみながら出漁を決める。漁を手伝う甥(おい)の親川春樹さん(25)と2人で漁場へ向かう。

 獲(と)った魚は「ジンナー(仁縄)」と呼ばれるロープへ通していく。「バラハタ」や「イロブダイ」などカラフルな魚が連なる様子はこいのぼりのようにも見える。

サンゴが多く生息する八重山諸島の海(彦野公太朗撮影)
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 「一番獲れたときで軽トラ2台分になったなぁ。狙うのは頭で、大物を見つけたら一発で当たりますようにと念じる。体に傷がつくと値が下がるから」という言葉に潜人の誇りがあふれる。

 小学生から父親の手伝いを始めたという。教えてくれるというよりは、漁は泳いで覚えろという人だった。“潮をあわせる”というものや“魚の家を覚える”など、言葉で伝えにくい潜人の知恵を体にたたき込んだ。

 中学を卒業すると本格的に漁に出るようになった。「危ない目? 5匹のサメに囲まれたこともあるよ」

透明度が高い1月の八重山の海(彦野公太朗撮影)
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 しかし、潜り漁は20~30メートルの熟練した潜水技術が必要で、過酷な漁を営む潜人は減少の一途だ。

 47歳の親川さんも「いつまで続けられるかは分からない」と少しさびしげだ。

 「シュピッ」と水中銃からひものついた矢が放たれ、高級魚「アカジン」を一発で仕留めた。風のように近づいて獲物を狙う姿は、呼び名に違わない“海の人”だった。(写真報道局 彦野公太朗、鳥越瑞絵)

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