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【白洲信哉 旅と美 22】文化財を次世代へつなぐ美術館(伊豆下田) 

伝統・文化

【白洲信哉 旅と美 22】文化財を次世代へつなぐ美術館(伊豆下田) 

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リニューアルで増築された仏教館では、西伊豆松崎の吉田寺に伝わる毘沙門天立像(鎌倉時代、像高約80センチ)を公開。ヒノキの「一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)」と呼ばれる技法で、両目は水晶を使った「玉眼(ぎょくがん)」で輝き、すごみを感じる。運慶に代表される慶派の流れをくむ仏師の作 (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F5.6 1/13sec ISO 3200) リニューアルで増築された仏教館では、西伊豆松崎の吉田寺に伝わる毘沙門天立像(鎌倉時代、像高約80センチ)を公開。ヒノキの「一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)」と呼ばれる技法で、両目は水晶を使った「玉眼(ぎょくがん)」で輝き、すごみを感じる。運慶に代表される慶派の流れをくむ仏師の作 (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F5.6 1/13sec ISO 3200)
伊豆は古くから海運が発達。平安時代から仏教文化が花開いたことはあまり知られていない。かつて米国領事館が置かれハリスが赴任した玉泉寺辺りからの夕景 (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F22 1/400sec ISO 200)
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伊豆は古くから海運が発達。平安時代から仏教文化が花開いたことはあまり知られていない。かつて米国領事館が置かれハリスが赴任した玉泉寺辺りからの夕景 (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F22 1/400sec ISO 200)フルスクリーンで見る 閉じる

 伊豆下田は近代開国の窓口として、米国の初代駐日総領事ハリスが赴任した地として知られ、今でも自然の恵みあふれた美しい温泉地だが、伊豆国は平安時代の式内社(延喜式に記された神社)に92座(祭神の数)を数え、駿河22座、相模13座、武蔵44座と比較しても、国の面積に比例しない多くの社があっただけでなく、早くから仏教美術が花開いたことはあまり知られていない。古来、文化の伝搬路は海上交通であり、江戸時代に入っても、物流の中心であった五街道の筆頭は、「東街道」ではなく、「東海道」であった。

手前がかつての仏教館と奥にみえる近代美術館がひとつになり上原美術館としてリニューアルオープン(昨年11月3日)した (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F11 1/200sec ISO 400)
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手前がかつての仏教館と奥にみえる近代美術館がひとつになり上原美術館としてリニューアルオープン(昨年11月3日)した (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F11 1/200sec ISO 400)フルスクリーンで見る 閉じる

 昭和58年、下田郊外に、上原正吉・小枝夫妻の寄付により誕生した上原仏教美術館。平成12年には、その子、昭二氏の近代絵画寄贈により、上原近代美術館が誕生。もともと個人の収集から発展した美術館が気持ち良いのは、自宅で楽しむがゆえのサイズ感と、どこか控えめな優しさの中に、一本筋の通った目線だと思う。昨年秋に統合されリニューアルし、上原美術館として開館した個人コレクションは、伊豆という伝統ある地域とともに、文化財を次世代へつなぎ現在進行形で発展させているようだった。

1987年に見出された吉田寺阿弥陀三尊像(鎌倉時代)。阿弥陀三尊像の脇侍は観音菩薩と勢至菩薩が通例だが、勢至ではなく地蔵菩薩というのは全国でも数十例しかみられない (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F4.5 1/15sec ISO 3200)
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1987年に見出された吉田寺阿弥陀三尊像(鎌倉時代)。阿弥陀三尊像の脇侍は観音菩薩と勢至菩薩が通例だが、勢至ではなく地蔵菩薩というのは全国でも数十例しかみられない (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F4.5 1/15sec ISO 3200)フルスクリーンで見る 閉じる
リニューアルにともない、伊豆の仏像と近代絵画を並べた展示が随所にみられる。仏教美術と印象派の出会いは、新らたな視点を生み出すだろう (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F3.5 1/50sec ISO 1600)
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リニューアルにともない、伊豆の仏像と近代絵画を並べた展示が随所にみられる。仏教美術と印象派の出会いは、新らたな視点を生み出すだろう (PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F3.5 1/50sec ISO 1600)フルスクリーンで見る 閉じる
白洲信哉(しらす・しんや) 白洲信哉(しらす・しんや)  文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。平成25年から骨董(こっとう)・古美術の月刊誌『目の眼』編集長。

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