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猫、春を待つ 雪に包まれた「猫寺」

生き物

猫、春を待つ 雪に包まれた「猫寺」

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降り続く雪の中、体中の毛を膨らませて丸くなった猫。春が待ち遠しい?=2月12日、福井県越前市の御誕生寺(尾崎修二撮影) 降り続く雪の中、体中の毛を膨らませて丸くなった猫。春が待ち遠しい?=2月12日、福井県越前市の御誕生寺(尾崎修二撮影)

 猫はこたつで丸くなる…とはかぎらない。―北陸の厳しい冬は今年も容赦なく雪を降らせ、寺の境内を白く塗りつぶした。それでも猫たちは慣れた足どりで、新雪の上にくっきりと肉球のスタンプを押して歩く。

肉球スタンプ

除雪後も降り続く雪がうっすらと積もる。そこに「レオ」の足跡がくっきり。まるで肉球スタンプ?=2月12日、福井県越前市の御誕生寺(尾崎修二撮影)
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除雪後も降り続く雪がうっすらと積もる。そこに「レオ」の足跡がくっきり。まるで肉球スタンプ?=2月12日、福井県越前市の御誕生寺(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 2月中旬の訪問だった。「今冬は例年よりも雪が少なそうですよ」と話していたのは福井の猫寺「御誕生寺」の猪苗代昭順副住職。しかし、強い寒気が停滞するという予報を耳にして、真冬の御誕生寺を取材するべく福井へ向かったのだ。
 北陸新幹線の車窓に映る景色は、寒そうには見えても、白一色とはいえず、絵になる光景が見られるのか不安だったが、日本海側に出ると一転、「レンタカーで走って大丈夫かな」と心配になる積雪量。前夜の降雪で20センチ、それに加えて降り続く乾いた雪がどんどん積もっていく。
 ホテルの駐車場に停めた車は翌朝、10センチほどの雪に包まれていた。進化したスノータイヤの性能に驚かされながら、安全運転で御誕生寺に到着すると、除雪前の境内は銀世界と化していた。
 夜明け前だったため点灯したままだったヘッドライトに反射して、早起きの猫数匹の目がキラキラと光る。ドアを開ける頃には足元にお出迎えの猫が2匹。「まだ朝食タイムには2時間以上あるよ」となだめながらカメラを取り出す。食べ物じゃないとわかった猫は、少しでも暖かい車のボンネットに飛び乗って目を閉じた。もっと暖かい寝床や小屋が完備されているのに…。

夜明け前、雪に覆われた境内には寒さをこらえて丸くなった猫の姿が。寺務所に灯る明かりは見守る温かさの印だ=2月12日、福井県越前市の御誕生寺(尾崎修二撮影)
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夜明け前、雪に覆われた境内には寒さをこらえて丸くなった猫の姿が。寺務所に灯る明かりは見守る温かさの印だ=2月12日、福井県越前市の御誕生寺(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 刻一刻と明るくなっていく裏山の稜線を見ながら、しばし「闇夜の猫」を撮影していると1台の車が入ってきた。福井市内から夫婦で訪れた林勝朗さん(58)は「昨年、雑誌で見て訪問して以来、時々来ては猫たちに癒やされています。妻が昔から猫好きなんですよ」と話す。妻の千尋さん(48)は、膝の上でゴロゴロとのどを鳴らす猫に優しい笑顔を向けていた。何かを愛する人の表情が、こんなにも温かく胸にしみるものなのだと、改めて教えられる。
 香港から1週間の日程で来日した羅昆宜さん(33)は「猫が大好き。(御誕生寺は)友人のSNSを通じて知った。今回の大きな目的が達成できた」と笑顔。上手に猫をあやしながら写真におさめていた。

「キャット・ファースト」

修行僧らによる除雪が行われる境内=2月12日、福井県越前市(尾崎修二撮影)
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修行僧らによる除雪が行われる境内=2月12日、福井県越前市(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 厳冬の雪の中、こうして訪れる人が後を絶たない。そのため修行僧らは、重機で除雪不可能な階段や狭い通路の雪かきに余念が無い。時折、猫に声を掛けたりする様子に思わず微笑んでしまったが、厳しい修行に加えての日常作業、そして猫の世話…。猫好きの一人として、頭が下がる思いだ。
 「現在猫の数は26匹。一時と比べればずいぶん減りましたが、きちんとした健康管理のため、目が行き届く数には限界があります。猫の事を一番に考えていきたい」と語る猪苗代副住職。最近の流行り言葉でいえば「キャット・ファースト」といったところか。
 春一番が吹く前の撮影だったが、雪に包まれた北陸で〝猫一番〟を実感して、心を温めていただいた。(写真報道局 尾崎修二)

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