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土偶の美【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

伝統・文化

土偶の美【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

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土偶の美【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

 土偶とは、粘土でつくられた人の形をした焼きもののことをいう。昨今では「縄文のビーナス」とか、ここに掲載した「中空土偶」や「合掌土偶」を含む四体が国宝に指定されている。だが、国宝のような、しっかりした大きな土偶は少なく、ほとんどが小さくて素朴な、まるで子どもが、遊びながらつくったような、掌にすっぽり納まってしまうものがほとんどだ。

 僕が大事にしているのが、通称「みみずく土偶」と称されるものの、愛らしい頭部であるが、彫りがしっかりと「よくぞ残ってくれた」と嬉しく感じている。

 さて、これは一体何か?と議論ある所であるが、一万年以上続いた縄文時代は争いがなかったと言われており(発掘された人骨などから)、自然の例えばドングリに猪や鮭など、限られた資源を、他の部族と折り合いをつけつつ、分かち合う精神が浸透していたのだと思う。土偶に乳房や出産しているものが多いのも、子孫繁栄の素朴な祈りと、立派な土偶には、複数の部族単位の、信仰対象としての役割があったように僕には思える。

■特別展「縄文-1万年の美の鼓動」 東京国立博物館 平成館 ~9月2日まで

 ※記事は産経新聞朝刊(東京本社版)9月中旬に掲載予定の「白洲信哉『旅と美』」から抜粋

(文・パノラマ写真 白洲信哉氏)
(撮影機材:リコー THETA S )

白洲信哉(しらす・しんや) 白洲信哉(しらす・しんや)  文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。最新刊「旅する美」(発行・目の眼)発売中。 

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