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“麻薬戦争”で刑務所満杯・フィリピン【360°パノラマ】

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“麻薬戦争”で刑務所満杯・フィリピン【360°パノラマ】

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“麻薬戦争”で刑務所満杯・フィリピン【360°パノラマ】

 看守に案内され施設の中庭を見下ろすと、立ち上ってくる人いきれと歓声に思わず後ずさった。フィリピン・マニラ首都圏ケソン市の刑務所。バレーボールに興じる仲間の周囲をカナリアの群れのように受刑者が埋め尽くしていた。面会人らと区別するため、受刑者は黄色いシャツの着用が義務づけられている。

 定員800人の施設に約3500人を収容し、監房1平方メートルあたりでは3人弱。前から過密だったが、6月に就任したドゥテルテ大統領の「麻薬撲滅戦争」で環境は悪化した。受刑者の63%が違法薬物関係で、次いで多い窃盗や殺人(ともに5%)を圧倒する。

 「寝る場所がないのが一番つらい」。取材に応じた建設作業員の男性受刑者(40)は7月、仲間数人とアジトにいたところを警察に急襲された。監房に収まりきらず、中庭に段ボールを敷き仲間と重なりあって雑魚寝しているという。

 男性は「ドゥテルテが大統領になり、怖くてクスリは辞めていた。警察に要求された賄賂1万2000ペソ(約2万6000円)を工面できず逮捕された」と冤罪(えんざい)を訴える。「2人の子供がいる。殺されなくて良かった…」とも語った。

 ドゥテルテ氏就任以来、警察は1500人超を射殺。自警団の関与が疑われる被害は2000人に上る。3万人弱が逮捕され、中毒者75万人以上が出頭した。

 覚醒剤を使用して過酷労働に耐え、日銭を稼ぐ貧困層。対策の重要性を痛感する国民の8割以上が麻薬対策に「満足」と回答した。9割以上が殺さずに逮捕することが「重要」と、人権上の懸念も認識している。(マニラ 吉村英輝)
(2016年10月19日、撮影:ロイター/Damir Sagolj )

Inmates pack one of the common areas inside of Quezon City Jail in Manila, Philippines

Inmates pack one of the common areas inside of Quezon City Jail in Manila, Philippines on October 19, 2016. The center was built to house 800 detainees but is now home to over 3,400, due to President Rodrigo Duterte's "war on drugs." Two-thirds of the inmates are inside on drug-related offences, according to data maintained by the prison. REUTERS/Damir Sagolj

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