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心をつなぐ「風の電話」【東日本大震災パノラマ】Vol.379

東日本大震災

心をつなぐ「風の電話」【東日本大震災パノラマ】Vol.379

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心をつなぐ「風の電話」【東日本大震災パノラマ】Vol.379

 津波で多くの犠牲者が出た岩手県大槌町にある「風の電話」。同町のガーデンデザイナー、佐々木格さん(70)が震災翌月の2011年4月、自宅の庭園に設置した電話ボックスだ。ダイヤル式の黒電話があるが線はつながっていなく、受話器を上げても何も聞こえない。これまで、亡くなった家族や友人に思いを伝える電話として、遺族らの心を癒やしてきた。

 新聞やテレビでこの電話の存在が知られるようになり、現在、月約300人が訪れているという。リピーターも多くこれまで6、7回訪れている人もいるとか。佐々木さんはここをオープンな場所にしているが、観光ガイドブックの掲載を断り、 団体での観光客も断っている。亡き人と電話で話そうと来た人が、観光客の数を見て驚きそのまま帰ってしまったこともあるからだ。

 また、一度もここに来たことがないのに、報道されたイメージだけで勝手に詩を作ったりCDを作ったりする人もいて、「間違った思いが伝わったら困る」との思いから今年2月、「風の電話」を商標登録した。

 佐々木さんは、「ここは心のケアの場所」と話す。当初は『自分だけが助かって生きている…』と感情のコントロールできなかった人も、震災から時間が経つにつれ、気持ちの整理がつき、「悲しみながらも、亡くなった方をいとおしむ気持ちに変わってきた」。ボックス内に置かれたノートは2冊目。「見守ってほしい」と書く人が多くなった。(2015年9月9日、植村光貴撮影)

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